検索
連載

2019年は民間機による「宇宙旅行元年」となるか、はやぶさ2のタッチダウンも注目MONOist 2019年展望(2/5 ページ)

2019年は宇宙開発の話題が盛りだくさん。その中でも「有人宇宙機開発」「月・小惑星探査」「日本の新型ロケット」という3つのテーマに絞り、注目すべき話題をピックアップして紹介する。

Share
Tweet
LINE
Hatena

はやぶさ2がリュウグウにタッチダウン、年末には帰路に

 宇宙探査で最も注目したいのは、もちろん日本の小惑星探査機「はやぶさ2」である。同探査機は2018年6月、目的地の小惑星リュウグウに到着。まずは科学観測を行い、10月にも1回目のタッチダウンを行う予定だったが、表面が予想以上に岩だらけだったため延期。安全に着陸(接地)できる場所の検討を進めていた。

ローバー「MINERVA-II」が撮影したリュウグウ表面
ローバー「MINERVA-II」が撮影したリュウグウ表面。岩だらけの世界だった 出典:JAXA

 サンプルを採取するには、降下して表面近くまで接近するしかない。その際、探査機の下に大きな岩があると、接触して機体が壊れる恐れがあるので、本質的にリスクが大きいミッションである。

 本来は、初号機のように平地を探して着陸する想定だったが、リュウグウにはそのような場所が見当たらなかった。辛うじて着陸できそうな地点を2つ見つけたものの、広い方の「L08-B1」でも大きさは10×20m程度。狭い方の「L08-E1」に至っては、6×10mくらいしかない。まさに想定外の狭さである。

候補地の「L08-B1」と「L08-E1」
候補地の「L08-B1」と「L08-E1」。タッチダウンはどちらになるか(クリックで拡大) 出典:JAXA

 ただ、ターゲットマーカーをすでに投下しているのは好材料。ターゲットマーカーを目印に降下すれば、着陸精度はより向上する。広いがターゲットマーカーから遠いL08-B1、ターゲットマーカーに近いが狭いL08-E1と一長一短があり、現在検討を進めているところだが、どちらが良いか悩ましいところだ。

 初号機は小惑星イトカワの微粒子を持ち帰り、大きな科学的成果をあげたものの、2回のタッチダウンはどちらも計画通りにはいかなかった。もし正常に動作すれば桁違いの量の物質を得ることができると想定されており、ぜひ1回目での成功を期待したいところだ。現時点では、2月18〜24日あたりに実施する予定となっている。

 はやぶさ2には新機能として、人工クレーターを生成する「インパクタ(衝突装置)」も搭載されている。この運用なども行い、同探査機は11〜12月にリュウグウを出発、地球への帰路につく予定。2019年は1年中、はやぶさ2の話題で盛り上がれそうだ。

⇒はやぶさ2

 小惑星探査では、ちょうど米国の探査機「OSIRIS-REx」も小惑星ベンヌに到着したばかり。同探査機はベンヌに2021年3月まで滞在する予定で、タッチダウンは2020年になる模様だが、はやぶさ2とは帰還後にお互いのサンプルを交換することになっており、こちらのミッションの進捗も気になるところだ。

OSIRIS-RExが撮影した小惑星ベンヌ
OSIRIS-RExが撮影した小惑星ベンヌ。リュウグウによく似ていると話題になった(クリックで拡大) 出典:NASA/Goddard/University of Arizona

⇒OSIRIS-REx

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る