組み込みAIでスマート化の「死の谷」を克服、ルネサスがe-AIとSOTBでけん引:人工知能ニュース(1/2 ページ)
ルネサス エレクトロニクスがインダストリアルソリューション事業の戦略について説明。組み込みAI技術「e-AI」と超低消費電力プロセス技術「SOTB」の組み合わせにより「エンドポイントインテリジェンスを実現し、新市場を創造する」(同社 執行役員常務の横田善和氏)という。
ルネサス エレクトロニクスは2019年1月21日、東京都内で記者会見を開き、産業用機器向けに半導体を展開するインダストリアルソリューション事業の戦略について説明した。組み込みAI(人工知能)技術「e-AI」と超低消費電力プロセス技術「SOTB」の組み合わせにより「エンドポイントインテリジェンスを実現し、新市場を創造する」(同社 執行役員常務 兼 インダストリアルソリューション事業本部長の横田善和氏)とし、2022年度にはe-AIで100億円、SOTBで100億円の売上高を見込んでいる。
同社のインダストリアルソリューション事業は、全社売上高(2017年12月期で7803億円)の30%を占める。工場など向けの「スマートファクトリー」、家電など向けの「スマートリビング」、スマートメーターなど電力インフラ向けの「スマートインフラ」の3分野に注力している。これらの分野におけるスマート化で重要な役割を果たすと想定し、2015年に構想を発表したのがe-AIである。
横田氏は「AIの学習はクラウドで行い、そのAIによる推論はエンドポイントでリアルタイムに行うという役割分担を行う。そして、このエンドポイントの推論に数百米ドルものAIチップを使う必要はない。2015年にこの構想を発表したとき、『本当にできるのか』など対応は冷ややかだった。しかし、約3年経過した現在、e-AIのような組み込みAIをエンドポイントに適用することは当たり前になっている」と、ルネサスの先進性を強調する。
2017年6月に正式に提供を始めた、学習済みのニューラルネットワーク情報をビルド可能な形式へ変換する「e-AIトランスレータ」は22カ国/250社以上の企業と団体が利用しており、このうち約200社がe-AIの応用製品の開発を検討している。「2019〜2020年には市場投入が始まる見込みで、それとともにe-AIの売上高も伸びていくだろう」(横田氏)という。
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