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AUTOSARの歴史と最新動向に見る、Classic PlatformとAdaptive Platformの関係AUTOSARを使いこなす(6)(3/4 ページ)

車載ソフトウェアを扱う上で既に必要不可欠なものとなっているAUTOSAR。このAUTOSARを「使いこなす」にはどうすればいいのだろうか。連載の第6回では、2018年11月時点でのAUTOSARの最新動向を紹介するとともに、Classic PlatformとAdaptive Platformの関係について説明する。

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今回のリリース内容(2):Adaptive Platform(AP) R18-10

 ここでは、AUTOSAR AP R18-10 TR Adaptive Platform Release Overviewに基づき、概要をご紹介いたします。

 今回のAP R18-10は、最初のR17-03から数えて4回目のAPリリースとなります。ちなみに、筆者はFT-SAF(Safety)にも最近参加するようになり、今回は、わずかですがEXP Safety Overviewの改訂にも関わりました。

 今回は新コンセプトの追加よりも、CPとのあわせ込みの強化を重点に進められてきました。

 APの開発の初期は、CPからはある程度独立した形で進められてきました。そこにはさまざまな理由がありますが、CPが使われてきた分野とは異なる分野での知見を取り込むために、CPにおける常識や制約からある程度開放される必要があったことが挙げられます(最初からレガシー問題を抱え込まないため、とも言えます)。しかし、今回は、実用化への一歩として、CPとの互換性の確立にも重点が置かれました。

 現時点のAPはまだ開発途上で、新規コンセプトという形を取っていなくとも、毎回多数の変更があります。過去のリリースとの比較はあまり意味がありませんので、現状のAP R18-10については、次回解説をしたいと思います。なお、R18-10では、CPでも採用された以下の2個のコンセプト提案も反映されています。いずれも反映途上(Draft)です。

  1. Extended Serialization for Data Structures in SOME/IP with tag/length/value encoding ※Draft
    • SOME/IPにおけるtag/length/value encoding(TLV)への対応です(CPと同様)
  2. Formal Model Query and Blueprint Derivation Mechanisms ※Draft
    • AUTOSAR Model Query Language(ARMQL)と呼ばれる言語を導入し、SWSなどにおけるvariation pointの記述方法をAP/CPで共通化し、可読性を高めます(これもCPと同様)

 APでは、AUTOSAR内で行われた実装(Codeと呼ばれます)を実際に運用してみることによって検証(validation)するという方法が取られています。現時点ではまだまだ課題はありますが、今回のリリース内容を多くの方々が評価しフィードバックすることにより、仕様としての品質が徐々に確保されていきます。

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