製造業で外資系企業の人気が高まっている理由:モノづくり業界転職トレンド(3)(1/2 ページ)
製造業外資系企業への転職が直近4年で3.3倍になるなど大幅に増加している。外資系企業の人気が高まっている理由や日系と外資系の働き方の違いについて転職コンサルタントに聞いた。
製造業分野で外資系企業への転職がここ数年活況を呈している。自動車業界専門転職サイト「オートモーティブ・ジョブズ」を展開するクイックの社内データによれば、2013年の外資系企業への転職人数を1としたとき、直近4年で3.3倍になっているという。
外資系企業の人気が高まっている理由や、日系と外資系の働き方の違いについて、クイック 人材紹介事業本部 自動車チーム マネージャーの大熊文人氏に聞いた。
仕事とプライベートを両立できる「働き方」
外資系企業といえば「高収入」「成果主義」というイメージが根強いが、近年は働き方改革への関心の高まりから、外資系企業ならではの「働き方」にも注目が集まっているようだ。
「日本の企業では組織やチームで業務に取り組むことを大前提としているので、一律の時間に出社するというのが一般的。またビジネスとプライベートの境界があいまいなので、定時を過ぎての残業や休日出勤が多いのも日系企業の特徴。有休消化率も外資系企業と比べて低い傾向がある」(大熊氏)
一方、外資系企業ではフレックスタイムやテレワーク、在宅勤務などを早くから導入しているところが多く、「仕事とプライベートはしっかり分ける」という働き方だ。
「外資系企業では、有休を取らなかったり残業が多い人はイコール“仕事ができない人”という考え方。上司からの評価も下げられるので、必然的に残業も少ないし、有休もしっかりと取る。仕事とプライベートとの両立という意味では、外資系企業の方が働きやすい環境が整えられていることが転職人気の一因だろう」(大熊氏)
日系企業では「仕事はオフィスでするもの」という考えが根強いが、外資系企業はそもそも勤務場所を固定化していないところが多い。このように時間や場所にしばられない“柔軟な働き方”は、なぜ外資系企業が進んでいるのだろうか。
「理由の一つは外資系企業ならではの“地理的な問題”。本国との時差があるので、そもそも同じ時間に就業することが難しく、必然的に深夜や土日のミーティングが発生せざるを得ない。勤務時間や場所を柔軟にしないと会社としての業務が成り立たないという背景がある。その地理的問題からくる柔軟性が、結果として働きやすさにもつながり、外資系企業の魅力にもなっている」(大熊氏)
成果主義が生み出す“優秀な人材の外資系流出”
外資系企業では柔軟な働き方が実現されている一方で、限られた時間で一定のパフォーマンスやより質の高いアウトプットを求められるので、業務のレベル感は高い。これがいわゆる「成果主義」で、そこにしっかりとコミットできないと淘汰(とうた)されてしまう。だが柔軟性ある働き方はできるし、求められる成果を出したら相応の報酬が得られる。この条件を受容できるかどうかで、外資系向きの人材が見えてくる。
「外資系に向いている人材像は“常に高いパフォーマンスを上げ続けたい人”。年次や年齢は関係なく若くしてマネジメント領域でチャレンジしたい人や早いタイミングでそれ相応の年収を確保したい人には外資系を薦めている。コンサルティングの際には外資系という意識はないまま登録している人もあり、転職に当たって希望条件を聞いていくと該当企業がたまたま外資だったというケースも多い。成長意欲が高い人ほど外資系に目を向ける。成長意欲が高いイコール優秀な人材という図式から、結局優秀な人が外資に流れる構図になっている」(大熊氏)
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