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日立化成の不適切検査、「2008年問題」にその原因を見る製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

日立化成は2018年11月22日、複数の同社製品で不適切検査が行われた事案について、外部専門家等で構成する特別調査委員会から調査報告書を受領したと発表した。また、同社は同日に東京都内で記者会見を開催し、同事案に関する顧客対応などの現状と再発防止策などを説明した。

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 日立化成は2018年11月22日、複数の同社製品で不適切検査が行われた事案について、外部専門家等で構成する特別調査委員会から調査報告書を受領したと発表した。また、同社は同日に東京都内で記者会見を開催し、同事案に関する顧客対応などの現状と再発防止策などを説明した。


左から日立化成の野村好弘氏、丸山寿氏、山下祐行氏(クリックで拡大)

 同社が行ってきた不適切行為の概要と原因、そして再発防止に向けた提言が記載されている調査報告書の総ページ数は441ページにも達し、同報告書の要約版でも73ページ。同社社長の丸山寿氏は会見の冒頭で調査報告書の記載量の多さに触れ、「これも対象製品が多岐に渡ったため」であると陳謝した。報告書およびその要約版は同社Webページより閲覧できる。

 同年11月2日の前回発表から新たな不適切行為、対象製品の拡大は確認されていない。同事案に影響を受けた顧客数は延べ2329社で、同社連結売上収益(2017年度売上収益は6692億円)の13.9%が該当する。この内、連結売上収益の1.8%が性能基準値外れや規格外れだった。現時点での顧客対応は、連結売上収益ベースで98%の部分まで進み、顧客の反応については「賠償を求める声はまだ聞いていないが、一部顧客で次回入札の遠慮を求める声がある」(丸山氏)としている。


顧客への対応状況(クリックで拡大) 出典:日立化成

 同社は同事案に関して責任の所在を明確化するとして、役員の異動と報酬減額を発表した。降格対象となる元代表執行役 執行役副社長 兼 CRO(最高リスク管理責任者)の野村好弘氏は、過去に不適切事案を認識しうるメールを受け取っていた。また退任対象となる元執行役の羽廣昌信氏は過去に不適切行為を行った製品の出荷を承認するとも読めるメールを送信していた。また、社長の丸山氏を含む13人の役員は月額報酬の一部を2018年12月から3ヵ月間減額する。

 会見に出席した野村氏は、記者から不正を認識していたかとの質問に対して「2008年に受信したメールに不適切行為を示唆する内容が含まれていたが、今回の特別調査委員会から受けた聞き取り調査があるまでその内容を認識していなかった」と釈明した。

 再発防止策は、経営陣の品質重視姿勢を明確化すること、グループ全従業員の品質保証に対する意識改革を行うこと、品質保証体制の抜本的な改善を行うこと、品質保証に関わる監査と内部通報制度を強化すること、の4本柱を掲げて各種施策を実行する。

 特に、品質保証体制の抜本的な改善については、社長直下にCQO(最高品質責任者)を配置するとともに、グループ各社の品質保証部門を統括する「品質保証本部」を新設する。この品質保証本部は、内部統制における第1のディフェンスラインである営業、開発、製造などの事業部門から独立した「独立性、専門性を持った強い」(丸山氏)組織として、第2のディフェンスラインと位置付ける。


品質保証体制の変更 出典:日立化成

 また、検査データを自動収集する人的関与を排した品質保証システムへの移行を順次進めるとし、「1〜2年の単位で成果を出せるように進めていく」(丸山氏)という。

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