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IoTの基となる「問題解決」とはIoTのイノベーションは問題解決から(4)

今回は最も大事な“問題そのもの”の特定方法についてお話します。

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 前回の「IoTやAIは魔法のつえじゃありません!」では、問題を明確にすることが大切であると伝えしましたので、今回は最も大事な“問題そのもの”の特定方法についてお話します。

 IoTとは解決すべき問題があって初めて生きてくるものです。そして、その問題というのは日常で困っていることや不便であると感じていることに端を発しています。

例えば「出勤時のオフィスビルにおけるエレベーターの渋滞」「満員電車」「仕事がなかなか片付かない」、これらは多くのビジネスパーソンが日々感じていることであり、そして多くの方々が「仕方がない」と解決を考える術もなく、受け入れていることではないでしょうか。しかし、それらを正しく分析し、幅広く解決策を探すことで、IoTが魔法のつえとなって解消してくれます。

 公共施設のIoTトイレも「いつも行くと空いていなくて用を足せず途方に暮れる」という日常の不便さを解消するために開発されたものでした。扉にセンサーを設定し、何階のどこのトイレのどのスペースが空いているかの状況をリアルタイムで表示することで問題は解決されるのですが、「空いているか分からない」という問題から、いきなり上記の解決方法にたどり着くのは困難です。

 しかし、扉の開閉で空室状況を把握できるが、その開閉動作自体がリモートで可視化されていないという点に気が付くことができれば、IoT導入による解決の糸口が見えてきます。そのためには感じている問題の原因を『深掘り』して、より具体的にしていく必要があります。深掘りをすると原因は必ず複数出てきますので、次は、それらを『帰納的に』まとめ、「つまりどういうことなのか」を明確にするステップへと進みます。すると先ほどの空室状況は扉の開閉で分かるが、その扉の開閉動作をリモートで可視化できていないという問題にたどり着けるのです。

 ただし、ここで出てきた問題に対して、すぐにソリューションを決めることが最善の行動とは言い切れません。最後に、考えうるソリューションを『演繹的に』網羅したうえで、『最適なソリューションを選択』をするというステップが欠かせません。ちなみに、『ソリューションによる副産物』(ITトイレでいえば、ありえない時間にトイレに入っている不審者の検知など)を見つけることができれば、選択したソリューションを別の目的にも活用することもできます。

 この一連の流れは、問題だと感じていることや困っていることを正しく分析し、その解決策を考えるという、プロのコンサルタントが使用する問題解決手法なのです。

「じゃあコンサルタントがいないとIoT導入は難しいのか?」そんなことはありません。特に仕事や身の回りのことはみなさん自身が良くご存じなので、ちょっとしたテクニックを理解できていれば意外とIoT導入の種を見つけることができるのです。

 そのテクニックというのが、先ほど『』で囲んだ『深掘り』『帰納』『演繹』『最適なソリューションを選択』などになります。これらの基礎を押さえておけば、IoTなどのテクノロジーを魔法のつえとして使うことができるようになってきます。


 次回からはそれらテクニックの具体的な方法についてお話したいと思います。

筆者プロフィール

株式会社VSN 馬場 秀樹

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2000年にVSNに入社。インフラエンジニアとしていくつものプロジェクトに参画。VSNの“派遣エンジニアがお客さまの問題を発見し、解決する”サービス、「バリューチェーン・イノベーター(以下、VI)」の構想メンバーであり、一流コンサルタントより問題解決手法の教示を受け、多くの問題解決事案に携わる。派遣会社でありながら、担当した事案には、数億円規模の売り上げ向上につながった例も。

現在は、同社「経営イノベーション本部」にて今後の事業の根幹を担うVIをさらに加速させるべく、事業計画の立案や浸透・推進を行う。

株式会社VSN https://www.vsn.co.jp/


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