トヨタのカーナビからLINEを送れる、オープンソースのSDL対応カーナビを日本投入:CEATEC 2018(1/2 ページ)
トヨタ自動車とLINEは2018年10月15日、千葉市内で記者説明会を開き、LINEの各種サービスに対応したディーラー装着用車載情報機器(カーナビ)を同年12月から日本で発売すると発表した。ライン装着用では2019年夏以降、一部改良などの機会にさまざまな車種でSDL対応カーナビを設定する。
トヨタ自動車とLINEは2018年10月15日、千葉市内で記者説明会を開き、LINEの各種サービスに対応したディーラー装着用車載情報機器(カーナビ)を同年12月から日本で発売すると発表した。ライン装着用では2019年夏以降、一部改良などの機会にさまざまな車種でSDL対応カーナビを設定する。
まず第1弾として、音楽配信サービス「LINE MUSIC」が利用可能になる。第2弾は2019年春に自動車向けAI(人工知能)アシスタント「Clova Auto」に対応したアプリの提供を予定している。これにメッセージのやりとりや通話も含まれる。第3弾の機能としてはLINEの音声認識技術によるカーナビ操作に2019年夏から対応する。
トヨタ自動車のカーナビとLINEのサービスの連携は「Smart Device Link(SDL:スマートデバイスリンク)」によるもの。SDLは、自動車メーカーやサプライヤーなどがコンソーシアムに参加し、スマートフォンのアプリとカーナビの連携をオープンソースで進めている。現在LINEはSDLコンソーシアムのゴールドメンバーだ。また、トヨタ自動車としては、北米市場向けの「Entune」に続くSDL対応カーナビの投入となる。
SDL対応カーナビを発売する2018年12月以降、LINE以外の企業が提供するさまざまなアプリが順次追加される予定だ。「CEATEC JAPAN 2018」(2018年10月16〜19日、幕張メッセ)で実施するデモンストレーションでは、ナビタイムジャパンやセブンアンドアイホールディングス、TomTom、KDDI、NTTドコモなどが手掛けるアプリとの連携が体験できる。また、技術的には、北米向けのEntuneと同様にAmazon(アマゾン)の音声サービス「Alexa(アレクサ)」にも対応可能となっているが、日本向けでのアレクサ導入は未定だという。
「ねえ、Clova……」
記者説明会には、LINE 取締役 CSMO(Chief Strategy and Marketing Officer)の舛田淳氏とトヨタ自動車 常務役員の山本圭司氏が出席した。
トヨタ自動車とLINEは2017年6月、LINEが開発を進めるクラウドAIプラットフォーム「Clova」とSDLの連携に関する協業を開始。Clovaは、LINEと韓国の検索ポータルNAVERが持つ開発技術やコンテンツ、サービスを活用して開発。LINEが展開するスマートスピーカーはこのプラットフォームの一部にすぎず、音声認識や音声合成、言語理解、画像認識、会話生成、インターネット検索、レコメンデーションエンジンなどパーソナルアシスタントとして必要な技術を総合したプラットフォームとなる。あらゆる環境で、パーソナルアシスタントとして使えるようにしていくことを目指している。
LINEは、2018年6月に既に、カーナビなど車載情報機器と連携するClovaという位置付けでClova Autoと、トヨタ自動車による採用を発表済み。Clova Autoは、自宅の家電を操作する音声入力、LINE MessageやLINE電話によるやりとり、天気予報の検索、音楽配信といったサービスを運転中でも安全に利用できるようにするものだ。
Clova Autoとカーナビの連携は、スマートフォンに専用のアプリをダウンロードした上で、USBで接続させる。カーナビの画面や、ステアリング上のスイッチから起動できる車載マイクを通じて、スマートフォンに触ることなく運転中にも安全にLINEのサービスを操作することができる。2019年夏からは、「ねえClova、東京タワーまでの行き方を教えて」「東名高速道路の渋滞情報を教えて」といった音声によるカーナビの操作が可能になる。
LINEが目指すのは、スマートフォンやスマートスピーカーに搭載されているClovaと、Clova Autoがシームレスに連携することだ。スマートフォンに出したレコメンドをクルマでも見られるようにしたり、その時いる場所に合わせた最適なコンテンツをレコメンドしたりできるようにする。
SDLコンソーシアムのうち、日系自動車メーカーはダイヤモンドメンバーがスズキとトヨタ自動車で、プラチナメンバーがSUBARU(スバル)とマツダとなっている。日本でのLINEの利用率なども考えると、他の日系自動車メーカーのカーナビにもClova Autoの採用が広がっていくことが考えられる。
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