CAN FDに対応するシステムベースチップ、5Mbpsの高速通信が可能:組み込み開発ニュース
インフィニオン テクノロジーズは、自動車向けに最大5Mbpsの高速通信が可能な、システムベースチップ「Mid−Range+SBC」ファミリーと「Lite SBC」ファミリーを発表した。
インフィニオン テクノロジーズ(Infineon Technologies)は2018年9月3日(現地時間)、次世代CANであるCAN FD(Flexible Data Rate)プロトコルをサポートし、最大5Mbpsの通信速度を持つ車載向けSBC(システムベースチップ)「Mid-Range+SBCファミリー」と「Lite SBCファミリー」を発表した。Mid-Range+SBCは販売中で、Lite SBCは同年10月から販売する。
SBCは電圧供給源、通信バスインタフェース(CAN、LIN)、監視機能をワンチップにしたICで、車載ECU(電子制御ユニット)の1つ。車内外との通信データ長の増加に伴い、通信機能の高速化が求められている。両ファミリーは、CAN FDに対応することで5Mbps高速通信が可能になった。
Mid-Range+SBCファミリーは、CANトランシーバー1個とLINトランシーバーを最大2個搭載。4つのハイサイドスイッチで外部負荷を駆動でき、ボディーコントロールモジュールやゲートウェイモジュールなどに対応する。
Lite SBCファミリーは、システムコスト低減を重視したSBCで、CANトランシーバー1個を搭載する。チャージポンプでハイサイドNチャネルパワーMOSFETを駆動し、車載ワイヤレス充電器や窒素酸化物センサー、ギアシフター、照明制御装置などに広く利用できる。
両ファミリーともに、スリープあるいはストップモードで消費電流の低減が可能だ。さらに、電圧低下の監視、リセット機能付きウィンドウウォッチドッグ、動作モードや出力がフェイルセーフ設計になっているなど、ECUを安全に動かす診断、監視機能も備える。
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