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IoTによるイノベーションで広がる可能性IoTのイノベーションは問題解決から(2)

今回はIoT(モノのインターネット)によって得られた情報から生まれる多様なイノベーションについてお話しします。

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 皆さん、こんにちは。前回は「IoTの基礎と現状」についてお話しました。今回はIoT(モノのインターネット)によって得られた情報から生まれる多様なイノベーションについてお話しします。IoTの奥深さであり、こんなにも注目されているのは、センサーで獲得した情報を組み合わせ、応用・発展することで、新たなサービスを生み出すことにあります。

 前回例に出した自動運転を例にとってみましょう。自動運転を行う自動車には障害物を検知するなどの安全運転をする目的で全周囲にカメラが取り付けられています。

 ですが、もしこの映像を地図に変換させるとどうでしょうか。Googleのストリートビューのような画像が特殊な撮影車を使うことなく出来上がってしまうかもしれません。もちろんそのためにはより多くの、できれば全ての自動車はもちろん、バイクや自転車に取り付けられていることが望ましく、そうすれば裏路地なども含めてあらゆる道路が画像化できてしまいます。

 あるいは、それらの映像がリアルタイムに見られて、かつ画像認識と組み合わせれば、映画「ザ・サークル」のように世界中の人から探したい人を特定することも可能になるでしょう。これにはプライバシー侵害などの問題が内包されていますが、今回のテーマとは外れますのでここでは触れないでおきます。

 では、もう1つ例を出してみましょう。ビルもIoT化が進んでいます。ビルは消費電力やエレベーターの待ち時間など、最適化すべきものが多い存在であり、どの時間にどういう人がどういう目的でそのビルにやってくるのかをセンサーから得た蓄積された情報から分析・AIで応用することにより、ランニングコストとストレスの低下を実現することができます。

 さらにこちらも、それら情報があらゆるビルから集まることにより、ビルの建設計画(場所・内部・導線など)にだけでなく、あらゆる人を目的に沿った場所へ最適なルート・時間帯に誘導することにも活用できるようになります。

 この取り組みは既に始まっています。アメリカのカリフォルニア州サンディエゴでは、GE(General Electric)・インテル・AT&Tが共同で街頭に速度センサーや動きを感知するセンサーを設置し、ネットワークでつないでいます。犯罪防止や交通違反防止などに役立てる他、人の動きや交通量の情報は商業施設や移動サービスなどにも応用することが期待されています。

 さて、ここまでのお話のポイントは、情報が元の目的以外のことに活用されている点です。ある目的のために収集した情報がその目的以外にも役立てることができるということに気付けば、可能性は無限大に広がっていきます。なぜなら、「ある目的のために収集した情報」自体が世の中に数多くある上に、それらの情報が組み合わせられたり、別の目的に使えたりするのであれば掛け算になるからです。

 「ある目的のために収集した情報」が100種類あるとしましょう。その情報の2つの組み合わせは100×100で10000通りあり、更にそれを「別の目的」100通りに適用するとなると100万通りにもなるからです。

 この辺りでかなりIoTによるイノベーションの核心に迫ってきましたが、このシリーズの目的はIoTそのものを深く知ることではないので、次回は失敗事例をもとに、IoT導入はどうあるべきかについてお話したいと思います。

筆者プロフィール

株式会社VSN 馬場 秀樹

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2000年にVSNに入社。インフラエンジニアとしていくつものプロジェクトに参画。VSNの“派遣エンジニアがお客さまの問題を発見し、解決する”サービス、「バリューチェーン・イノベーター(以下、VI)」の構想メンバーであり、一流コンサルタントより問題解決手法の教示を受け、多くの問題解決事案に携わる。派遣会社でありながら、担当した事案には、数億円規模の売り上げ向上につながった例も。

現在は、同社「経営イノベーション本部」にて今後の事業の根幹を担うVIをさらに加速させるべく、事業計画の立案や浸透・推進を行う。

株式会社VSN https://www.vsn.co.jp/


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