「モノ売り強者」が「コト売り」に挑戦する理由、ブリヂストンの場合:MONOist IoT Forum 名古屋2018(前編)(1/2 ページ)
MONOist、EE Times Japan、EDN Japan、スマートジャパン、TechFactoryの、アイティメディアにおける産業向け5メディアは2018年7月12日、名古屋市内でセミナー「MONOist IoT Forum in 名古屋」を開催した。名古屋での同セミナー開催は2度目となる。
MONOist、EE Times Japan、EDN Japan、スマートジャパン、TechFactoryの、アイティメディアにおける産業向け5メディアは2018年7月12日、名古屋市内でセミナー「MONOist IoT Forum in 名古屋」を開催した。名古屋での同セミナー開催は2度目となる
本稿では前編で基調講演であるブリヂストン デジタル戦略企画本部長の増永明氏の講演「デジタルトランスフォーメーションで加速するブリヂストンのビジネスソリューション」内容を紹介する。
後編では、特別講演である村田製作所 技術・事業開発本部 新規事業推進部 部長、ソリューションビジネス推進部 部長の谷野能孝氏による「村田製作所のIoTと新規事業育成の取り組み」と「第4次産業革命と知財」をテーマとした、IPTech特許業務法人 副所長兼COOの湯浅竜氏の講演、その他の講演について紹介する。
ブリヂストンがデジタルトランスフォーメーションに踏み切る理由
タイヤメーカーであるブリヂストンは、グローバルシェアでトップシェアを獲得する有力企業である。そんなタイヤ業界で最も強い企業の1社であるにもかかわらず「タイヤメーカーからソリューションプロバイダーへと舵を切る」と宣言し、ビジネス変革を推進している。
モノ売りで十分な強さを持つブリヂストンがなぜソリューションプロバイダーへと変革しなければならないのだろうか。それにはタイヤが既にコモディティ化しているということが理由としてある。
ブリヂストンの増永氏は「タイヤの世界シェアを見ると2005年は、ブリヂストン、ミシュラン、グッドイヤーのトップ3社が半分以上のシェアを握ってきたが、2016年にはこれら3社のシェアは全て下がり、代わって新興国市場の企業がシェアを伸ばしてきている。市場全体が伸びているので個々の企業だけを見ると成長しているが、コモディティ化が進み、差別化ができなくなっている状況が生まれている」と市場環境に対する懸念を述べる。
コモディティ化が進めば価格競争が進むことになる。価格競争が激化すれば、人件費などのインフラコストが安い新興国の企業が有利になる。こうした背景が生まれているのだ。そこで「『作って売る』からソリューションプロバイダーに変わっていく必要がある。困りごとを聞いて、解決するというビジネスモデルに変わる」(増永氏)。
ただ、これらを実現するためには、全ての部署がデジタル化し情報を共有できるようにしていかなければならない。セクションのタコつぼ化を防ぎ、一気通貫でバリューチェーンを結ぶ必要性がある。そこでブリヂストンは2017年1月に組織を再編し、新たにCDO(チーフデジタルオフィサー)も設置。デジタルを切り口に全社を横串で見られる体制を作っている※)。
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