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中国のEV普及は有言実行、無人運転で先駆けるのは商用車つながるクルマ キーマンインタビュー(1/2 ページ)

調査会社のIHS Markitは、エネルギーや航空宇宙、通信、自動車など幅広い産業分野をカバーする。その強みを生かし、複数の産業を横断した調査も実施している。このほど発表した調査レポート「reinventing-the-wheel」ではそうした横断的な情報を組み合わせて、将来の自動車の在り方を検証してまとめた。同レポートについて、IHS Markit リソース・トランスポーテーション&CMS部門のプレジデントであるジョナサン・ギア氏に話を聞いた。

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 調査会社のIHS Markitは、エネルギーや航空宇宙、通信、自動車など幅広い産業分野をカバーする。その強みを生かし、複数の産業を横断した調査も実施している。このほど発表した調査レポート「Reinventing the wheel」では自動車、エネルギー、化学、先端技術などの情報を組み合わせて、将来の自動車の在り方を検証してまとめた。

 同レポートについて、IHS Markit リソース・トランスポーテーション&CMS部門のプレジデントであるジョナサン・ギア氏に話を聞いた。

中国自動車メーカーが腰を据えて投資できる理由は


IHS Markitのジョナサン・ギア氏

MONOist 無人運転の市場動向をどのように見ていますか。

ギア氏 市場が成長するのは間違いないが、政策や技術開発、消費者の需要が影響するため、一言で説明するのは難しい。まず、地域ごとの違いがある。例えばインドと米国を比較すると、クルマや運転手を雇うコストが違う。インドではクルマが高価なのに対して人件費が安いので、ドライバーレスの需要は弱い。反対に米国は人件費が高く、クルマを買う経済力は十分にある。米国ではドライバーレス車が順調に普及するのではないか。

 インドは渋滞や混雑など交通環境がドライバーレス車の普及のブレーキになる。東京のように整備された交通環境と比べて、技術的なハードルが高くなる。ドライバーレスには人間が運転する以上の安全が求められることも普及に向けた課題だ。

MONOist 他の地域はどうでしょうか。

ギア氏 日本や欧州、米国で法規制に関するコンセンサスが取れていないので一言では言えない。法規制が成長を止めるものではいけないが、安全や技術の達成ラインを見極め、ギリギリの線を模索しながら進んでいくとみている。

 中国の動向は面白い。中国は石油燃料への依存度を下げることや、大気環境の改善などが理由で、政府が電気自動車(EV)市場の拡大に積極的だ。それが無人運転車の普及にも影響してくる。

 EVに関して米国の業界関係者と話すと、技術や消費者のニーズ、法規制など不確定要素が多く、決めかねているところがあるという。しかし、中国の自動車メーカー幹部は不確定要素を気にしておらず、EVが普及する環境を政府が有言実行で全て整える前提で見ているようだ。市場の要求や充電インフラの整備状況を気にせず、技術に投資している。EVの普及は他のどの市場よりも確実だろう。

MONOist 中国など政府が立てたEV普及の目標を実現するにあたって、バッテリーや充電インフラに課題はありませんか。

ギア氏 バッテリーに関しては、今後10年間で世代が変わっていく。まずはレアアースの使用量を減らし、その次に全固体電池がある。それぞれの具体的な実用化時期は明確でないが、EVの普及を後押しする。

 充電インフラに関しては、政府の姿勢によるところが大きい。中国は政府が有言実行で取り組むが、インドは強い方針を示しておらず、実行力にも疑問がある。中国と、中国の動きに追随するその他の市場に分かれるだろう。

 充電インフラを整備する時には、充電ステーションをつくるコストや、どの程度の台数が一斉に充電しても電力網が耐えられるのか、ユーザーがどれくらいの頻度で充電することになるのか、といった要素が影響する。誰がステーションのコストを負担するかというポイントもある。石油会社のトップが言うには、ガソリンスタンドを充電ステーションに切り替えると、充電の待ち時間のおかげで併設のコンビニが売り上げを伸ばせるという。

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