標準時間の設定手順:よくわかる「標準時間」のはなし(6)(3/4 ページ)
日々の作業管理を行う際の重要なよりどころとなる「標準時間(ST;Standard Time)」を解説する本連載。第6回は、少し複雑な標準時間の設定を理解するのに役立つ“標準時間の設定手順”について説明する。
(6)標準時間を決める
対象作業の時間測定を行い、これにレイティングの手続きや、あらかじめ調査・測定した余裕時間を加えるなどの必要な処置を加えて標準時間を決定します。
(7)標準作業と標準時間の周知徹底を図る
作業時間は、作業動作に基づいて設定されたものですので、標準作業方法を周知徹底し、これを守るように指導できれば、基本的には時間は自ずと所定の時間値で安定してくるものです。
標準作業方法を記述した「作業標準書(作業手順書)」は、設定された標準を正しく現場へ伝達するツールといえます。また、新しい標準の実施に際しては、関係者へ十分に内容を理解してもらい、納得と同意を得ておくことが重要です。
周知の5Sは、“整理、整頓、清掃、清潔、躾(しつけ)”のローマ字表記の頭文字からとったものですが、最も苦戦するのが最後の“S;躾”です。その意味は「決めたことを皆で守ろう!」ということですが、まず、関係者全員に徹底すること自体が難しく、どのような簡単なことを提案した場合でも、“賛成派”“無関心派”“反対派”の3派が現れるのが常です。“無関心派”“反対派”については、より丁寧に説明していく必要があります。また、厄介なのは“頭で分かっていても体がいうことを聞かない”人達です。この人達に対しては、訓練と達成状況のフォローアップの繰り返しによって、早く自分のこととして行動できるように支援していく必要があります。
(8)新しい標準を正しく維持する
設定した標準は、適時にフォローアップを行って正しく統制し維持していく必要があります。作業方法は、絶えず進歩向上していきますので標準時間もその都度、適正な値に改訂していかなければなりません。これを怠ると標準時間が現実から遊離したものとなって、ついには標準時間に対する不信を招くことにつながっていきます。
2.2 標準時間設定ステップの内容
「2.1 標準時間設定ステップの内容」で説明した8つの手順を図1「標準時間設定の手続き」に示しました。
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