人を幸せにするAI、機械との自然な対話がもたらす価値:2018 Japan IT Week 春(1/2 ページ)
「2018 Japan IT Week 春」(2018年5月9〜11日、東京ビッグサイト)の基調講演で「AI(人工知能)搭載アシスタントの展望〜人類による情報の探求〜」をテーマにMegagon Labs CEOのAlon Halevy(アロン・ハレヴィ)氏がデジタル情報の取得方法の進化について紹介し、この進化に対する研究の重要性やMegagon Labsの取り組みについて語った。
「2018 Japan IT Week 春」(2018年5月9〜11日、東京ビッグサイト)の基調講演で「AI(人工知能)搭載アシスタントの展望〜人類による情報の探求〜」をテーマにMegagon Labs CEOのAlon Halevy(アロン・ハレヴィ)氏がデジタル情報の取得方法の進化について紹介し、この進化に対する研究の重要性やMegagon Labsの取り組みについて語った。
第4次産業革命で変化する情報の取得方法の変化
ハレヴィ氏はコンピュータ科学者や起業家、教育者などの顔を持つ。1993年にスタンフォード大学コンピュータサイエンス学科博士号取得。その後、ワシントン大学のコンピュータサイエンス学科の教授を務め、同大学にデータベースリサーチグループを創設した。エンタープライズの情報統合基盤を提供するNimble Technologyおよび、ディープWebを提供するTransformicを創業。TransformicのGoogleによる買収を契機に、Google本社のシニア・スタッフ・リサーチ・サイエンティストとして構造化データのデータマネジメント分野の研究責任者を務め、Google Fusion Tablesなどの研究開発に関わった。その後2015年4月に立ち上がったリクルートの人工知能研究所「Megagon Labs(当時Recruit Institute of Technology)」のトップに就任している。
Megagon Labsはリクルート全体に対するテクノロジーの拠点として、米国マウンテンビューにオフィスを構えている。社内の技術力を飛躍的に高め、そしてリクルートのユーザーや、クライアントへ新たな「出会い」体験の提供を可能にする技術開発や研究業務を行っている。トップクラスの研究を実施し、それらに関する論文を発表するとともに、オープンソースプロジェクトによる社会貢献にも取り組む。
あらゆるサービスからより質の高いアドバイスが期待されるようになっている最近では、目的や嗜好を把握し、複数の手段でシームレスにより深いレベルでユーザーと対話できるサービスの必要性が高まっている。ハレヴィ氏は同社のCEOとして、プライバシーについて憂慮しつつも、これらに対する新たな技術開発に取り組んでいる。
現在は第4次産業革命という変化の時代を迎え、物理学や生物学などとともにデジタル技術も急激に進化している。各分野の専門家が過去に想像ができなかった斬新なアイデアも実現が可能となっているのだ。今回の講演で、まずハレヴィ氏はこうした状況の背景にある「人類の情報に対する探求の進化」について取り上げ、その歴史を振り返った。
革新は「検索」から「音声」へ
ハレヴィ氏がまず触れたのが「検索」の存在だ。「今から20年前『検索』が出現した。検索エンジンにクエリ(query)を入力すると、いくつかの関連するリンクが現れるようになった。これは1つの情報取得の革命だった。情報の取得を圧倒的に容易にし触れられる知識の量が大きく増えた」とハレヴィ氏は振り返る。当時の検索エンジンは何十億の文章を読み込む程度だったが、今では何兆もの文章をサーチし、0.5秒以下でユーザーの求める結果を表示できるようになっている。
その後、デジタル情報の検索は複数の段階を経て進化し、自然言語による複雑なクエリまで理解できるようになった。さらに画像を対象としても、その写真に中に含まれている情報を理解し、クエリに対して回答できるようになった。
この流れの中で次の大きな革新と位置付けられているのが「音声」である。コンピュータが音声で発せられた質問を理解できるようになった。「10年前には想像できなかったことだ」とハレヴィ氏は指摘する。検索エンジンではテキスト検索よりも音声で質問される比率が急速に増えているとし「将来的には上回る」(ハレビィ氏)と見られている。
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