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完全ワイヤレスイヤフォンのキラー技術「NFMI」の現在・過去・未来小寺信良が見た革新製品の舞台裏(9)(1/4 ページ)

左右分離型のワイヤレスイヤフォン、いわゆる完全ワイヤレスイヤフォンが人気を集めている。2016年ごろからKickstarterでベンチャー企業が製品化して話題となったところで、同年末にアップル(Apple)が「AirPods」を発売。

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Appleの完全ワイヤレスイヤフォン「AirPods」
Appleの完全ワイヤレスイヤフォン「AirPods」(クリックで拡大) 出典:アップル

 左右分離型のワイヤレスイヤフォン、いわゆる完全ワイヤレスイヤフォンが人気を集めている。2016年ごろからKickstarterでベンチャー企業が製品化して話題となったところで、同年末にアップル(Apple)が「AirPods」を発売。

 イヤフォンジャックが廃止された「iPhone 7/7 Plus」に合わせる形で発売されたものだが、手頃な値段と使いやすさが受け、「ベンチャー製品」ジャンルから一気に飛躍。2017年春ごろからメディアなどでも特集が組まれるようになると、一般にも広く知られるようになっていった。夏頃にはソニー、BOSE、B&Oといった老舗オーディオメーカーも参入し、数万円の高級モデルから数千円の廉価モデルまで、幅広い製品群を形成しているのはご承知の通りである。

 だが、完全ワイヤレス型には弱点がある。都市圏へ通勤している方は体験された方も多いと思うが、Wi-Fiを含め多くの2.4GHz帯の電波が飛び交う駅構内や繁華街では、左右の音切れが頻繁に起こる。両方が途切れるならまだいいが、片方だけが急に聞こえなくなると、いら立ちが倍増する。

 これは、スマートフォン−イヤフォン間の接続が切れるからではなく、L−R間の接続が切れるからだ。電波が混んでいるところでは諦めるしかないと思っている方も多いが、実はこの左右の音切れを解消する技術がある。

 オランダの半導体メーカーであるNXPセミコンダクターズ(以下、NXP)が開発する「NFMI」という技術だ。既に採用製品も幾つかある。以前から知られるところでは「EARIN M-2」「YEVO 1」「B&O Beoplay E8」「NuForce BE Free8」「Jabra Elite Sport」などがある。最近発売されたものとしてはソニーの「Xperia Ear Duo XEA20」もそうだ。

ソニーの「Xperia Ear Duo XEA20」「Xperia Ear Duo XEA20」利用イメージ ソニーの「Xperia Ear Duo XEA20」(左)と利用イメージ(右)(クリックで拡大) 出典:ソニー

 今後採用が広がりそうなこの技術の革新性を、開発元であるNXPに聞いた。今回お話しいただくのは、NXPジャパン 第二事業部 マーケティング・アプリケーション技術統括部 セキュリティ&コネクティビティ技術部シニア・フィールド・アプリケーション・エンジニアの平賀浩志氏である。

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