品質保証体制を強化するためのIoT活用はどのように実践すべきか(その2):トヨタ生産方式で考えるIoT活用【実践編】(3)(1/3 ページ)
日本型モノづくりの象徴ともいうべき「トヨタ生産方式」の利点を生かしたIoT活用について、実践編として、より具体的な「導入のポイント」や「活用する手段」を説明する本連載。第3回は、品質保証体制強化におけるIoT活用のうち「蓄積」について解説します。
前回からIoT(モノのインターネット)の最新技術を使って、どのように品質向上/強化を図るかについてデータ(情報)の「収集」「蓄積」「活用」の観点から3回に分けて具体的に解説しています。前回は「収集」について、管理項目と収集方法について説明しました。今回は「蓄積」について説明します。
1.通信方式の概要
まず、データ収集を行うには「設備内蔵のセンサー」「外付けセンサー」「情報機器」を使用してデータを取得します。次に、取得したデータをネットワークでサーバと呼ばれる「蓄積用の機器」に通信した上で、保存します。ネットワークで通信する際には機器間をケーブルでつないで通信する有線の方式や、構内(Wi-Fi)や携帯電話通信網(3G、4G)を使用した無線の方式があります。通信で送信されたデータをサーバ側に保存することにより蓄積します。
品質保証に必要なデータはトレーサビリティーに活用するので、精度の高いデータを100%収集する必要があります。このため、現在は有線のネットワークで収集する手段が主流です。データの蓄積については、各工程のエリアにいったん集めたデータを、工場の各エリアに吊り下げられた大型モニターや設備のモニターにリアルタイムに表示する目的で使用したり、最終的な全工程のデータを格納する目的で機器を分けたりといった構成がとられています。
2.データ蓄積の手順とポイント
(1)データ収集の方法
データを収集する際には、設備内蔵のセンサーからPLC経由でデータを収集します。PLCで制御をしない設備の場合は、設備の端子から直接情報を収集する方法をとります。設備から収集できない情報は、現場のタッチパネルから手入力をします。各手段についてもう少し掘り下げます。
- PLC:設備を制御しているPLCにデータを直接集めることができます。PLCには制御する目的だけでなく、情報収集や通信をするエリアがメーカーごとで決められていますので、そのエリアを使用します
- 外付け機器:設備の端子から直接信号を取得します。最近は何点かの端子を1つの中継機器に集約し、LANの配線で転送できるようになっています
- タッチパネル:現場に設置した機器に直接手入力します。タッチパネルの方式は、従来の抵抗膜方式から、ゲーム機やスマートフォンで広く利用されている静電容量方式や、ペンタブレットに用いられている電磁誘導方式などに変わってきています。抵抗膜方式は手袋を付けた状態の指先や通常のペンで操作できるものの、精度が限られ耐久性も高いとはいえません。静電容量方式と電磁誘導方式は、精度が高く耐久性にも優れますが、手袋を外した状態の指先や専用のペンで操作する必要があります
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.