製造業革新に必要な“リアルなデジタル”の生かし方:IVI公開シンポジウム2018春(1)(2/3 ページ)
IVIは、2017年度の取り組みの進捗状況と2018年度の方向性について紹介する「IVI公開シンポジウム2018-Spring-」を開催。新たに発表したモノづくり実践戦略「IVRA-Next」や、未来プロジェクトの状況などを紹介した。
「IVRA-Next」で訴えるサイクルの意味
「IVRA-Next」では、新たにモノづくりをサイクルで捉える新たな提案を行う。西岡氏は「日本の製造業らしく物事をサイクルで捉えていきたい。日常のさまざまな活動を進めていくには全ての行動がサイクルとして成立する。ドイツのインダストリー4.0でも訴えられているRAMI4.0などとの親和性が高い」と述べている。
製造業が取り扱うデータの違い
製造業が扱うべきデータの種類にも言及。「つながる工場」を実現する上で全ての中心になるのはデジタルデータである。バーチャルなITの世界でのデータに対し、製造業の扱うデータは「リアルデジタル」ともいうべきものである。
西岡氏は「デジタル化が進展する中で全てのデータをクラウドに上げるような発想もあったが、日本の製造現場はそういう考え方になじまなかった。エッジヘビーの思想が強く、生産現場に近いところで処理をしたいという考えだ。いわばリアルなデジタル化に進んでいる」と語る。具体的にはハードウェアの開発や製造、組み込み開発などエッジに近い領域での強みを強調した。
消費者のデータなど多岐にわたるデータが集まるのが、ビッグデータだとすると製造現場などで必要なデータは多義性や因果性、局所性などの特徴を持つ「ディープデータ」だと西岡氏は主張する。「ディープデータに基づくリアルなデジタル化は現実世界との対応付けがあるという点がビッグデータなどとの違いだ。こうした対応付けが発生する領域では日本の製造業は強みを持つ」と語る。
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