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IoTシステムを作り出す学生コンテスト、勝負の分け目は「誰のために何を作るか」第8回 Device2Cloudコンテスト決勝大会レポート(1/2 ページ)

デバイスとクラウドを活用したシステムの企画からプレゼン、開発までを競う学生競技会「Device2Cloudコンテスト」。第8回は、AI(人工知能)が注目される中で開催された。入賞チームの企画/開発したシステムを中心に決勝大会の模様をレポートする。

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 学生を対象にIoT(モノのインターネット)/M2M(Machine to Machine)システムの企画/開発/プレゼンテーションを競うコンテストである「Device2Cloudコンテスト」(主催:東京エレクトロン デバイス)。今回で8回目の開催となる同コンテストの決勝大会が、2017年12月9日に東京都内で開催された。

 IoTという言葉が広く知られていない2011年から開催されている、学生を対象にしたコンテストだが、企画/開発だけでなく、それをキチンと伝え、共感を得るところまで求められるという特徴がある。今回の決勝大会では、予選審査によって選抜された8チームが、企画/開発した実機のデモンストレーションを含めてプレゼンテーションを行った。本稿では受賞チームを中心にレポートする。

機械学習によるAIが“目利きの達人”に

 特別賞を受賞したのは東海大学のチーム「DEVERS」。前回の大会の優勝チームである。

 ネット通販で青果物を購入することも当たり前の時代になってきている。そんな時代だが、本当においしいのか心配であったり、作り手である農家の思いが伝わらなかったりすることもある。

 DEVERSが企画/開発したシステムは、“目利きの達人”となる人工知能(AI)をクラウドを介したサービスとして提供し、おいしい青果物を購入できるようにするシステムだ。りんごを対象に開発され、りんごの外観から糖度や酸度を数値化する。撮影した画像を利用し機械学習で甘さを判断している。

 「Azure IoT Suite」の「Machine Learning」を使って実現した。IoTデバイス側は「RaspberryPi3」とカメラというシンプルな構成である。

 りんごのお尻のへたの色/形によって数値化する論文があり、DEVERSではたくさんの写真を撮影し学習させたという。機械学習を本格的に使ったシステムの提案としては、Device2Cloudコンテストでは初となる。

「DEVERS」が開発したりんごの甘さを機械学習を使って数値化するシステム
「DEVERS」が開発したりんごの甘さを機械学習を使って数値化するシステム(クリックで拡大)

前方危険検知システムとトイレットペーパー管理

 準優勝は2チームが選ばれた。まず、広島工業大学の「HIT-LAB B」は、赤外線測距センサーを使った前方危険検知システムを企画/開発した。RaspberryPi3と「Arduino」を使い、赤外線測距センサー、6軸加速度センサーに加え、GPSの情報も加味したデータを収集する。

 クラウドに蓄積されたデータを「PowerBI」を使って地図上に位置情報などをマッピング。センサーで衝突を警告し、衝突や転倒を検知し、危険区域をマップ化し共有する。自転車などに関わる事故発生が多い危険区域に侵入すると、警告を発することで事故を未然に防ぐ。

「HIT-LAB B」のプレゼンテーションの様子
「HIT-LAB B」のプレゼンテーションの様子(クリックで拡大)

 もう1つの準優勝チームは山形県立産業技術短期大学校の「YY-Sangitan」だ。トイレの個室で用を足すときにトイレットペーパーがないという悲惨な状況を防ぐために、業者としてはどれくらいのトイレットペーパーをストックしておけばいいかといった課題を解決する。

 使用量と残量の把握によって、個室ごとの利用頻度を見える化をしている。フォトリフレクターをトイレットペーパーの芯に内蔵し、その回転数を計測し使用量を計算することで、IoTデバイスを安価に実現している。

 クラウドのデータはPowerBIで可視化し、Web経由で情報閲覧可能としている。清掃員は交換作業の効率化が可能になり、業者はペーパーの在庫/発注管理を自動化できる。また、トイレットペーパーの使用量の変動は、健康/保健衛生の調査研究にも活用できる。

「YY-Sangitan」が開発したデバイスとWeb経由で閲覧できるグラフ表示画面
「YY-Sangitan」が開発したデバイスとWeb経由で閲覧できるグラフ表示画面(クリックで拡大)

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