リードタイムを半減、AR活用なども視野に入れる日立大みか工場の進化:メイドインジャパンの現場力(13)(2/3 ページ)
日立製作所グループにおいて、さまざまなインフラの制御システムを構築しているのが大みか事業所である。総合システム工場としての位置付けを担う同工場は、スマート工場化の実証なども推進し、リードタイム半減に成功。さらにITシステムの高度化やAI活用などで進化を進めようとしている。
リードタイム半減につなげた高効率生産モデルの価値
多品種少量生産に対応する意味で、特徴的なのが「作業改善支援システム」である。これは、カメラやモニターなどが設置された作業台をベースとし、人手によるセル生産を支援するというものである。
スマート工場化などで難しいのが人手による作業のデータ化である。「作業改善支援システム」では、作業指示書をモニター画面に表示すると同時に、作業指示書のページ送りとページ送りの間の時間を作業時間と想定し、各工程の作業時間などを把握できるという仕組みを取り入れたことで、現場の負担を小さく、作業内容の把握ができるようになったという。
これらで得られた作業データをもとに、多くの時間がかかっている作業などを割り出し、設計工程や作業工程の改善や、作業員のスキル向上などに役立てていく。そこで役に立つのが、映像である。「作業改善支援システム」で活用している作業台車には、手元を撮影するカメラの他に周辺8方向を撮影するカメラが設置されている。当然、時間のかかった工程でどのような作業が行われたかというのが手元の作業を映像で見ることで把握できる他、部品を取りに行く作業や立ち姿勢、実際の制御盤に組み付ける作業などは、手元だけを撮影していても分からない。これを周辺も撮影するカメラでカバーし、担当する作業台車以外のカメラからの映像を活用することで把握するというものである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.