次世代の車載ネットワーク「CAN FD」とは:車載ネットワーク(2/4 ページ)
セキュリティ対応や自動運転などの車両の高機能化に伴い、より高速な車載ネットワークが求められている。本稿では次世代の車載ネットワークの1つとして考えられているCAN FD導入の背景やプロトコルの概要ついて紹介する。
(2)アービトレーション領域
CAN FDのアービトレーション領域はIdentifierとRRS(Remote Request Substitution)ビットで構成されています。IdentifierはCANと同様に、データ内容や送信ノードを識別するために使用され、通信調停の優先順位を決定する働きもしています。CANで使用されていたRTR(Remote Transmission Request)ビットはRRSに置き換えられています。
RRSビット(Remote Request Substitution)
CAN FDではリモートフレームが無いので、RRSビットはドミナントに固定です。
(3)コントロール領域
CAN FDのコントロール領域はIDE(Identifier Extension Bit)ビット、FDF(FD Format Indicator)ビット、resビット、BRS(Bit Rate Switch)ビット、ESI(Error State Indicator)ビットで構成されています。
CAN FDでは、新たにFDFビット、BRSビット、ESIビットが追加されました。IDEビットはCANと同様で標準フレームまたは拡張フレームを示すフラグで、resビットは予約ビットです。
FDF(FD Format Indicator)
FDFビットがドミナントの場合はCANのデータフレームで、リセッシブの場合はCAN FDのフレームです。
BRS(Bit Rate Switch)
BRSビットがリセッシブの場合、送信ノードがBRSビットのサンプリングポイントで高速な転送速度のクロックモードに切り替えることを意味します。応答する全受信ノードもクロックのモードの切り替えを行う必要があります。CRC Delimiterのサンプリングポイントで全ノードがアービトレーションフェーズのボーレートに戻ります。つまり、全CAN FDノードは2種類のボーレートを持ちます。
ESI(Error State Indicator)
ESIは送信ノードのエラー状態を示すフラグで、送信ノードのエラー状態がError Passiveの場合はリセッシブで、Error Activeの場合はドミナントです。ESIビットによって全ノードは現在の送信ノードのエラー状態を確認できます。CANフレームでは送信ノード用に自身のエラー状態を通知する手段がありませんでした。
データ長コード(DLC: Data Length Code)
DLCは何バイトのデータが送信されるかを表します。CAN、CAN FDともに4ビット構成です。CAN FDの場合、最大64バイトまでのデータを送信できます。データ長は0〜8、12、16、20、24、32、48、64バイトが選択できます。CANの場合、0〜8バイトです。DLCとデータ長の関係は以下の表のようになります。14バイトや50バイトなど、ここに記載した以外のデータ長は指定できません。
(4)データ領域
CANと同様に、データ領域には送信データを設定します。DLCで指定した値の数データを、最上位ビット(MSB)から送信します。
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