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最近のJISだと「寸法公差」ではなく「サイズ公差」なのはなぜか3D設計推進者の眼(26)(3/4 ページ)

機械メーカーで3D CAD運用や公差設計/解析を推進する筆者から見た製造業やメカ設計の現場とは。今回はJIS製図における「サイズ」「サイズ公差」「幾何公差」について考える。

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タイプ1

 設計者としては、基準面をどこに置くかという観点でサイズを入れます。切削加工を考えればデータム3平面の1つを、下図のように考えるのが一般的ではないでしょうか。


データム面

 このようにデータム3平面を意識した場合、タイプ1を選択します。設計を学び、部品図を作成するようになるとこのような指導をされることが多いと思います。一般的な製図方法ではないでしょうか。この描き方によって、加工上の基準面が設定されることになります。私は、この部品内で何か他の部品とのアセンブリーをするのではなく、この部品単体での管理を行う際の寸法の入れ方として考えます。計測そのものも、定盤上に基準面で設置し、その高さを測定することになります。

タイプ2

 タイプ2の場合、以下の図のように、この部品を用いて他の部品との組み立てをして、アセンブリーを構成するような場合に設定します。


タイプ2のアセンブリー例


タイプ2の接触3平面

 ここの例では、朱色の部品とのはめあいを行っています。また、ここでは赤色矢印の高さ方向のみのはめあいに着目しています。それぞれの部品間には接触する3平面(青色の面と緑色の2面)が存在します。

 両方の部品にいえることですが、青色の面と緑色の平行2平面の寸法が管理されていなければ、両部品が緑色の面に接する前に青色の面に部品が接触してしまい、緑色の面に隙間が生じることや、緑色の面は接触していても青色の面に設計者の要求を満たさない隙間が生じてしまうことでしょう。これを管理するには、タイプ2の寸法を入れるのが良いと考えます。この時のアセンブリー上の基準面は、緑色の面になります。

タイプ3

 タイプ3は、下図のような緑色の部品をアセンブリーする場合に設定します。


タイプ3のアセンブリー例(1)


タイプ3のアセンブリー例(2)

 緑色の部品を取り付ける面を基準にして、赤色線枠の箇所の隙間や干渉を管理する時に行います。この寸法管理を行うことにより、緑色の部品を取り付ける際に、赤色線枠が先に接触してしまい、黄色線枠での取り付けができないことや、赤色線枠で隙間の寸法を管理しようとした時に、設計者の要求を満たさない隙間を防止することが可能になります。

 ここで例を挙げさせていただいたのも、ほんの一例にすぎませんが、このように寸法記入の仕方によって、その寸法の機能性を表現することができます。

当然、これだけでは満たされない

 既に「おやっ」と思われた方もいるでしょう。この寸法記入だけでは、タイプ1・2.3の要求を満足はできません。皆さんがお考えのように、サイズ公差や幾何公差が必要になります。実は、設計者が寸法を入れる際には、実はサイズ公差や幾何公差というものを想定しています。その上で、これらのような寸法の入れ方が成り立っているのです。

 設計者が機能を意識せずに寸法を入れているのだとしたら、その図面には設計者の意図がないのだと私は考えます。ここでお話ししたいのは、寸法の意味、寸法の入れ方というものは、2D図面上だけの問題ではなくて、3D図面上に寸法を入れる時も同じだということです。

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