「ものづくり白書」に見る、日本の製造業の強みと弱み:ものづくり白書2017を読み解く(前編)(2/4 ページ)
高い技術力を武器に世界市場をけん引してきた日本の製造業。しかし、周囲を取り巻く環境は目まぐるしく変化し、置かれている状況は決して楽観視できるものではない。日本のモノづくりの現状を示す「ものづくり白書」では、日本の製造業独自の強みを示すとともに、固有の弱みがあることを明らかにしている。日本の製造業の持つ、強みと弱みとは何だろうか。
「技能人材」の確保が課題
人材確保の状況に関する調査では、約8割が課題と認識しており、約2割が「ビジネスにも影響する」と回答した。特に確保が課題である人材としては「技能人材」が挙げられており、「課題がある」と回答した企業のうち半数以上が回答していた(図4)。国内における技能人材の確保は深刻な状況に入っているといえる。
また、「現場力」の維持・強化を図る上での課題としても「人手不足により、人材確保が難しくなってきている」という回答が最も多くなっている(図5)。
人手不足への対応策としては、現在は過半数の企業が「定年延長などによるベテラン人材の活用」などの人材活用に向けた制度面での取り組みに最も力を入れている。一方で、今後最も力を入れていきたい取り組みとしては「ITの活用などによる効率化」や「ロボットなどの導入による省力化」が1位、2位で計4割超となっている。今後は、ITやロボットなどを活用した合理化・省力化に重点が移ることが見込まれている(図6)。
2017年版ものづくり白書では、「人手不足対策に向けた取り組み」と「現場力の変化」との相関関係を分析している。10年前に比べて現場力が向上した企業の特徴として「女性が長く働けるなどの環境整備」や「ロボットなどの導入による省人化」「ITなどの活用」といった取り組みを積極的に行っていることが分かった。
また、10年後に現場力が向上すると回答した企業の今後の取り組みでは「ロボットなどの導入による省人化」や「ITなどの活用」などが最も多くなっている(図7)。現場力が今後向上すると考えている企業ほど、ITやロボットなどを活用した合理化・省力化に重点を移すことを意識していることがうかがえる。
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