ニュース
新型シリコン光センサーを用いた高性能な小型PET装置を開発:医療機器ニュース
名古屋大学は、新型シリコン光センサーを用いた、小型で高性能なPET装置を開発した。これまでは難しかった高感度の乳がん検出が可能になるほか、頭部用PET装置としても利用できる。
名古屋大学は2017年11月28日、新型シリコン光センサーを用いた、小型で高性能なPET装置を開発したと発表した。同大学大学院医学系研究科 教授の山本誠一氏と加藤克彦氏、大学院生の中西恒平氏と同大学医学部付属病院 技師長の阿部真治氏、技師の藤田尚利氏、東北大学サイクロトロンセンター 教授の渡部浩司氏が共同で開発した。
これまで全身用PET装置では、高い感度で乳がんの検出ができなかった。検出器リング径が80cmほどと大きなことと、体幹部による消滅ガンマ線の吸収が大きいためだ。
研究グループは、サイズが小さくて薄いシリコンフォトマル(高感度光センサー)を用いて装置の性能を向上し、小型化を図った。その結果、リング径を26cmと小さくすることに成功し、体幹部を計測せずに乳房のみを測定できるようになった。また、リングをPET装置として理想的な円形に配置することで、2mm前後の高い空間分解能を得られた。
この小型PET装置は人の頭も入る大きさなので、頭部用PET装置としても利用できる。近年、PET装置でアルツハイマー病の早期発見が可能になったことから、今後の治療につながることが期待される。今後、メーカーの協力を得ながら、製品化を進める。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「奇跡の一本松」を保存した生物研究所が乳がん触診シミュレーターを開発した理由
乳がんの早期発見に役立つのが自身での触診だ。だが、自分の胸を触ってシコリを感じても、それががんなのかを判別することは難しい。そのシコリの違いを学べる「乳がん触診シミュレーター」を京都の生物教材メーカーである吉田生物研究所が開発した。「奇跡の一本松」の保存などで知られる同社は、なぜ乳がん触診シミュレーターに取り組んだのか。 - マンモグラフィーだけの乳がん検診は不十分!? 超音波やMRIの組み合わせが必要
シーメンスヘルスケアと相良病院が、乳がん検診の現状や、全身検査が可能なPET-MRI同時撮影装置「Biograph mMR」を使った最新の検診手法について説明。マンモグラフィーだけでは乳がんを見つけ出すには万全とはいえず、超音波やMRIなども組み合わせる必要があるという。 - 超音波を360度の方向から照射、乳がん検診の高精度化と計測時間短縮に貢献
日立製作所は、簡便・無痛・高精度な乳がん検診を可能にする超音波計測技術を開発した。超音波を360度の方向から照射して自動スキャンを行うため、検査者の熟練度に依存せずに検査できる。 - 乳がんの転移診断を支援する近赤外光カメラシステムを発売
島津製作所は、近赤外光カメラシステム「LIGHTVISION」を発売した。ICG蛍光法でリンパ管の位置を正確に同定し、高精細な画像を描出することで、乳がんの転移診断を支援する。 - 尿中代謝物で、健常者、乳がん患者および大腸がん患者の尿検体を識別
日立製作所は、住友商事グループと共同で、尿中の代謝物を網羅的に解析することにより、健常者、乳がん患者および大腸がん患者の尿検体を識別する基礎技術の開発に成功した。