介護と仕事の両立――介護経験がある管理職の77.3%が「不安がある」:キャリアニュース
アデコが「介護と仕事の両立」についてのアンケート調査結果を発表した。親族の介護経験がある管理職の77.3%が、介護と仕事の両立に不安を感じており、半数近くの47.5%が、介護を理由にした退職を「考えたことがある」と回答した。
総合人事、人財サービスを展開するアデコは2017年11月8日、「介護と仕事の両立」についてのアンケート調査結果を発表した。
調査対象は、親族を介護した経験があり、直属の部下を持つ管理職(課長職、部長職)600人。「介護を理由に、退職を考えたことがありますか」と尋ねたところ、「何度も考えたことがある」(19.5%)、「1、2回考えたことがある」(28.0%)を合わせて47.5%が「ある」と回答した。介護のために会社を休むなど介護への関与度が高い人については、退職を考えたことがある割合が57.2%とさらに高くなった。
次に、退職を考えたことがあると回答した285人にその理由を尋ねた。その結果、最も多かった理由は「体力・精神的な負担や不安」(20.7%)だった。続いて「介護状況の変化、介護を優先したい」(18.2%)。一方、退職を考えたことがないと回答した315人は、その理由として「収入面での不安」(26.0%)を挙げた人が最も多かった。
介護に携わる部下の支援や、休暇制度についての課題も
「介護と仕事の両立」における不安の有無では、「とても不安がある/あった」(29.3%)、「どちらかといえば不安がある/あった」(48.0%)を合わせて77.3%が、不安があると回答した。介護を理由に会社を休んだことがある人は、不安を感じる割合がさらに高く、83.3%となっている。
不安を感じる理由は「精神的な負担がある」(50.4%)が最も多かった。僅差で「同僚・部下の仕事に影響が出る」(49.8%)、「労働時間が長く、介護に時間を割けない」(47.0%)が続いた。
次に、介護を理由に会社を休んだことがあるかを尋ねたところ、67.0%が「ある」と回答。その際、利用した休暇制度は「有給休暇制度」が最も多く、88.1%だった。対象家族1人につき1年に5日取得できる「介護休暇」は15.9%、家族1人につき通算93日を3回まで分割取得できる「介護休業制度」は2.7%と利用が少なかった。
介護に関連して利用できる制度と、その利用の有無を尋ねた質問では、「半日単位、時間単位の休暇制度」の利用率が63.5%と最も多かった。続いて、「遅刻、早退または中抜けなどの柔軟に出退勤できる制度」(29.2%)。介護は突発的な対応が発生することも多いため、勤務時間を柔軟に調整できる制度が利用されているようだ。
次に、介護に関連する休暇制度や勤務に関する制度を利用しづらいと思ったことがあるかを尋ねた。その結果、「よくある」(24.0%)、「時々ある」(39.2%)を合わせて63.2%が利用しづらいと回答した。
制度を利用しづらいと思う理由として最も多かった回答は、「自身の業務に支障が出るため」(73.1%)だった。続いて、「部下の業務に支障が出るため」(54.1%)、「管理職で、介護を理由に休みを取る人がいないため」(37.7%)、「休みを取りにくい雰囲気があるため」(32.7%)だった。
介護に携わっていることを職場で打ち明けた相手は、「職場の上司」(71.8%)が最も多かった。次が「職場の同僚」(54.5%)。「職場の部下」は41.3%となっており、部下に伝える割合がやや低いことが分かった。
部下への支援状況についても質問した。部下が介護と仕事を両立できるよう配慮する上司、いわゆる「ケアボス」に関連して、介護に携わりながら働く部下を支援したいか尋ねたところ、「とても支援したい」(47.5%)、「どちらかといえば支援したい」(44.4%)を合わせて91.9%が「部下を支援したい」と回答した。
実際に「ケアボス」として、介護に携わる部下を支援できている/いたか、という質問に対しては、「とても支援できている/いた」(16.5%)、「どちらかといえば支援できている/いた」(57.0%)を合わせて73.5%が「支援できている」と回答。支援したいという理想と現実で、18.4ポイントの開きがあった。
介護に携わる部下の就業継続を支援する際、課題として感じる点は「業務量や役割分担の調整が困難」(57.0%)が最多。続いて、「プライベートなことなので聞きづらい」(38.8%)となっており、どこまで仕事以外の領域に踏み込んでよいか悩んでいることが分かる。
最後に、介護に携わる部下の就業継続を支援する「ケアボス」として、どのような対応が必要かを尋ねた。その結果、「今後の働き方について、本人の意思確認」(58.7%)が最も多かった。続いて「当事者以外のメンバーへのフォロー」(51.8%)、「メンバーの業務の見える化」(45.3%)。本人の意思を把握した上で、チーム全体のマネジメントに注力したい意向がうかがえる。
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