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人工知能「Watson」の無期限試用が可能に、日本IBMがビジネス利用の拡大を強化人工知能ニュース(1/2 ページ)

日本IBMは、AIの活用に関するユーザーイベント「AI Business Forum TOKYO」を開催し、同社が展開する人工知能「Watson」の価値と先進事例について紹介。同時に「Watson」を含むクラウドサービスを無期限で試用できる「IBM Cloud ライト・アカウント」の開始についても発表した。

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 日本IBMは2017年10月27日、都内で同社のAI(人工知能)「IBM Watson(以下、Watson)」の活用に関するユーザーイベント「AI Business Forum TOKYO」を開催した。同時に「Watson」を含むクラウドサービスを無期限で試用できる「IBM Cloud ライト・アカウント」の開始についても発表した。

ビジネスのためのAIであるWatson

 「Watson」は、米国IBMが研究開発する人間の認知に関わる情報処理(コグニティブ・コンピューティング)の総称である。2006年から研究開発プロジェクトをスタートさせたが、2011年に自然対話型で回答が導き出せる人工知能として、米国のクイズ番組「Jeopardy!」に出場し人間に勝ったことで一気に注目を集めた。2015年2月にソフトバンクとの提携で日本語化を進めることを発表し、2016年12月から日本での本格展開を開始した。

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日本IBM 代表取締役社長執行役員 エリー・キーナン(Elly Keinan)氏

 ユーザーイベントで基調講演に立った、日本IBM 代表取締役社長執行役員 エリー・キーナン(Elly Keinan)氏は、世界を変える6つの技術として、AI、IoT、ブロックチェーン、量子コンピュータ、ニューロモーフィック(脳型)コンピュータ、世界最小コンピュータの6つを挙げ、コンピュータが人間の生活を大きく革新し続けることを紹介。

 一方でキーナン氏は「AIには人々の生活を直接的に助けるAIと、ビジネスを支援するAIがある。IBMのWatsonはビジネスを助けるAIである」とWatsonの価値について述べる。「限られたゲーム盤の上でさらにルールが固定化されたゲームと、ビジネスの世界は大きく異なる。AIをビジネスで活用するためには、業界用語や文脈、ワークフローをAIが理解できないと難しい。Watsonはすでに医療現場で医者の診断を支援するサービスを開始しており、ビジネスの世界で実績がある。他のAI技術ではそういう実績はまだない」とキーナン氏は強調する。

 さらに「現在、世界に存在するデータ(情報)の内、検索可能で活用できるものは20%でしかなく、残りの80%が外部からアクセスできないような製造ラインなど企業内にとどまっているデータだ」(キーナン氏)とし、Watsonでこうした企業内データを活用できるようにする意義を訴えた。

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世界のデータの80%は検索できないデータでその活用がカギだと日本IBMは主張する 出典:日本IBM

Watsonで既存業務の人員を半減に

 Watsonの展開において日本のパートナーとして協力してきたソフトバンクグループからはソフトバンクの代表取締役社長 兼 CEOの宮内謙氏が登壇し、技術の変化とソフトバンクにおけるWatsonの活用について紹介した。

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ソフトバンクの代表取締役社長 兼 CEOの宮内謙氏

 宮内氏は「世界の年間検索回数は2.4兆回以上となり、EC(電子商取引)の市場規模は200兆円以上となるなど、10年前を思い浮かべると、考えられなかったことが現実のものとして登場している。ただ、これからの10年間はもっと大きな変化が起きる」と述べる。

 その変化における企業の取り組みとして重要な要素を「成長戦略」と「構造改革」を挙げる。宮内氏は「従来は技術変革における企業の変化は構造改革寄りで活用されることがほとんどだった。しかし、これからの時代はテクノロジーの変化で成長戦略をどう描くかということが重要になる。テクノロジーで事業が再定義されるような時代が来る」と成長戦略の価値を強調する。

 さらに、成長戦略を描くうえで、考えなければいけない3つの経済変化として「コネクテッドエコノミー」「シェアリングエコノミー」「スコアリングエコノミー」を挙げる。

 コネクテッドエコノミーは、通信により人と人がつながり場所も時間を選ばないコミュニケーションができるようになったことで生まれる価値を示す。今はこれがさらに広がり、人だけでなくモノもつながることができる。

 さらにこのコネクテッドエコノミーを土台として、完全にモノの管理が行えるようになったことで、シェアリングエコノミーが生まれた。カーシェアリングや自動車シェアリングなどの他、Uberなどの自動車配車サービスなどもこれに当たる。

 さらに、あまり注目されていないが「今後重要になることにスコアリングエコノミーがある」と宮内氏は述べる。コネクテッド化により、モノの完全な管理が可能となることで、例えばシェアされた自動車をどのような使い方をしているのかが把握できる。そこで、利用者がスコアリングされるような状況が生まれる。「これらはさらにさまざまな産業に広がっていき、新たなチャンスを生み出すだろう」と宮内氏は経済変化について展望を述べる。

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