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50万円台の3Dプリンタの「Form 2」はホビー向けではなくプロ向け、今後は最終製品生産にも3Dプリンタニュース(1/2 ページ)

Formlabsの製品責任者であるデビッド・ラカトシュ氏が、同社における今後の製品開発や出荷について語った。プロ向け仕様の装置を破格の安さで提供しようと奮闘する同社だが、最終製品生産での活用ニーズを狙っている。

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 3Dプリンタの販売においては、「デスクトップ3Dプリンタ」と「プロフェッショナル3Dプリンタ」という表現が用いられる。市場調査会社のIDCによる分類では平均販売価格の50万円をボーダーラインとして両者を区別している(関連記事:2016年国内の3Dプリンタ出荷台数は減少、造形受託や造形材料の市場は成長傾向)。

 ただ、2013年頃のメイカーズムーブメント以降の「3Dプリンタブーム」と言われた数年間、市場に出回る3Dプリンタの機種が多様化してきた。

 小型のSLA式光造形機である「Form 2」は価格が50万円台だが、ホビー目的のデスクトップ機種としてではなく、プロフェッショナル向けとして販売している。実際、同社機種のユーザーの95%が設計者やプロダクトデザイナーといったプロユーザーである。これまでの同社では数十万ドルクラスの高額な装置を安価に提供しようとチャレンジしてきた。

 MONOist編集部は、Formlabsの製品責任者であるデビッド・ラカトシュ(David Lakatos)氏から直接話を聞く機会を得た。同社の「Form 2」など3Dプリンタ製品の開発や、今後の計画などについて尋ねた。


(左)Formlabs 製品責任者 デビッド・ラカトシュ氏、(右)Formlabs Japan 新井原慶一郎氏

日本市場に期待

 Formlabsは2011年設立の、MITメディアラボ発のメーカーである。2012年にクラウドファンディングのKickstarterでデスクトップタイプの光造形機「Form 1」を発表し、300万ドルほどの資金調達に成功。以後、「Form1+」「Form 2」とバージョンをアップさせながら機能強化してきた。社員は現在、300人を超えており、そのうち3分の1がエンジニアだという。アメリカ、ドイツ、日本の3拠点でビジネス展開している。製造業の他には医療関連企業でも同社製品が採用されているという。「歯科系の2万件の施術で使われた」(ラカトシュ氏)。

 「日本における製品販売数は、この3年の間で1000台を超えた」とラカトシュ氏は説明する。日本ではPLEN Roboticsなどのベンチャーから大手企業までさまざまな企業が同社製品を採用しており、現在、用途は主に試作であるという。日米にかかわらず、最終製品における活用は、今後増えていくだろうと同社では見ている。日本は同社のパートナー企業が販売を展開している。「日本市場は、製造業やハイテクにたけた企業が多いため、期待が高い。日本と米国の市場や活用傾向については大きな違いは見られない」(ラカトシュ氏)。

ホビー向けではなく、プロ向けとして

 Form1時代には使い勝手や安定性の面で少々の課題を抱えていたものの、Form 2と世代を進めて安定性ある造形機に仕上がった。Form 2の造形エリアは145×145×175mm、積層ピッチは25〜100μmの間。造形エリアは従来の光造形機と比較して小さめになるが、造形精度的には従来の価格の高めな装置にひけをとらない。


Form 2(出典:Formlabs)

ユーザーが製作したForm 2カー:筐体やパッケージを模している。カートリッジのミニチュアまで! イベント用に製作。

 Form 2は光造形機なので、デスクトップのFDM機による造形と比べると、硬化処理や洗浄などの手間がかかる。同製品のリリース後には、ユーザー要望を受け、2017年の5月には機能性材料の2次硬化(UV硬化)に使う「Form Cure」、有害物質も含まれる光造形材料を素手で触らずに済む自動化洗浄装置「Form Wash」といった新たな周辺機器を販売開始した。


Form CureとForm Wash(出典:Formlabs)

 Form 2の造形材料は「レジン」と呼ばれ、射出成形用のプラスチックの特性が再現できる材料や、ゴムライクな柔軟性ある材料、耐久性や耐熱性に優れた材料など、造形材料も豊富なことも特長だ。スナップフィットの評価が可能な部品も製作可能だ。「材料開発には非常に力を入れており、社内には材料専門の科学者が30人いる」(ラカトシュ氏)。最終製品製作のニーズに応えられる、高強度な材料や、長期使用に耐えうる材料の開発を目指す。今後はセラミック材料のリリースも予定しており、2017年中には出荷したいということだ。


Form 2の出力サンプル

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