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リアルワールドエビデンスに基づく医療機器開発の時代へ:海外医療技術トレンド(28)(2/3 ページ)
米国では「21世紀医療法」に基づく医療イノベーション推進策が本格化しており、ヘルスデータ利活用の領域まで及んでいる。そこで重視されているのが「リアルワールドデータ(RWD)」と「リアルワールドエビデンス(RWE)」だ。
リアルワールドデータに要求される妥当性と信頼性
次に、FDAは、リアルワールドデータが、規制に関わる意思決定に要求される十分な品質を満たしているか否かを判断する評価基準として「妥当性(Relevance)」と「信頼性(Reliability)」を掲げている。
このうち規制に関わる利用に適した「妥当性」に関連する要素として、以下のようなものを挙げている。
- リアルワールドデータが、集団において、関心のある機器、露出、アウトカムの利用を捉えるために十分な詳細を含んでいる(例:データを手近な質問に適用する)
- 妥当で適切な分析手法が適用された時、分析に利用可能なデータの要素で、特定の質問を処理することができる(例:データに通常の臨床/統計分析を施すことができる)
- 提供されるリアルワールドデータとリアルワールドエビデンスが、既知の臨床/科学的判断を利用して、解釈可能である
他方、「信頼性」に関連する要素として、「データの発生」と「データの保証・品質コントロール」の2つを挙げている。これらのうち、「データの発生」に関連する具体的な要素として、以下のようなものを挙げている。
- 完全で正確なリアルワールドデータ収集に向けた個々のサイトの準備
- 共通のデータ捕捉フォームを利用したか
- 共通の定義フレームワーク(例:データ辞書)を利用したか
- 主要なデータポイント収集のための共通な時間的フレームワークのアドヒレンス
- リアルワールドデータの収集または検索に関連する研究計画、プロトコル、そして/または分析計画を策定するタイミング
- データ要素の捕捉のために利用するソースおよび技術手法
- 患者の選定および登録の基準がバイアスを最小化し、リアルワールド集団の代表性を保証しているか
- データ入力、伝送、可用性の適時性
- 必要で十分な患者の保護は整っているか
さらに、「データの保証・品質コントロール」に関連する具体的な要素として、以下のようなものを挙げている。
- データ要素の集団の品質
- 完全性と一貫性のための、ソース検証の手順とデータ収集・記録の手順のアドヒレンス
- 特定の分析に必要なデータの完全性
- サイトおよび時間の枠を超えたデータの一貫性
- データ収集と参加サイトにおけるデータ辞書利用のための継続的なトレーニングプログラムの評価
- サイトとデータのモニタリング業務の評価
- データ品質監査プログラムの利用
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