VW「パサート」ディーゼルエンジンモデルを日本導入、新エンジンで需要取り込む:エコカー技術
フォルクスワーゲン グループ ジャパンは、ディーゼルエンジンを搭載したセダンおよびステーションワゴンの「パサート TDI」の型式認証を取得し、日本市場向けに2018年初めから発売する。
フォルクスワーゲン グループ ジャパンは2017年10月11日、ディーゼルエンジンを搭載したセダンおよびステーションワゴンの「パサート TDI」の型式認証を取得し、日本市場向けに2018年初めから発売すると発表した。
国内に導入するのは排気量2.0l(リットル)のディーゼルエンジンを搭載したモデルで、日本のポスト新長期排ガス規制をクリアしている。不正の対象となったディーゼルエンジンよりも新しい「EA288型」で、排ガス後処理システムに酸化触媒、SCR(尿素式選択還元触媒)、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)を追加した。
これに合わせて、「第45回東京モーターショー 2017」(プレスデー:10月25〜26日、一般公開日:10月28日〜11月5日)において、ステーションワゴンタイプの「パサート ヴァリアント TDI」を参考出品する。
国内のディーゼル乗用車市場は、2017年1〜9月で前年同期比1.2倍に成長しており、輸入車に限定すると同2倍に拡大した。また、経済産業省は2030年に、クリーンディーゼル車の普及率を2015年の3.6%から5〜10%に引き上げようとしており、ディーゼルエンジン車の需要を取り込んでいこうとしている。
電気自動車もクリーンディーゼルもVWには重要
2015年9月。排ガス規制の測定試験の走行パターンを認識すると、エンジンECUに組み込んだ不正なソフトウェアが窒素酸化物(NOx)が基準値以下になるようディーゼルエンジンを制御する不正をVolkswagen(VW)グループが行っていたことが明らかになった。不正ソフトウェアを搭載していたエンジンは「EA189型」で、欧州の排ガス規制のEuro6に適合した旧型のものだ。
これを受けて、VWグループでは事業戦略を立て直しながら、米国やドイツでリコールを実施。業務プロセスの改善や法令順守プログラムなど、再発防止策も講じた。EA189型エンジンを搭載した車両は日本に正規輸入されていなかったが、フォルクスワーゲン グループ ジャパンでも顧客との接点拡大などにより信頼回復に努めた。
VWは電気自動車の開発に積極的に投資するとともに、2025年までに年間100万台、30モデルを販売する目標を掲げている。しかし、これらの取り組みは従来のパワートレインと相いれないものではないとし、地球温暖化抑制の目標を達成するにはクリーンディーゼルも不可欠だという考えだ。
内燃機関やハイブリッド車、プラグインハイブリッド、電気自動車、燃料電池車など全てのパワートレインの効率を高めながら、カーボンフリーと持続可能なモビリティ社会の実現を目指す。日本導入が決まったパサートに搭載するEA288型エンジンは、モジュール化戦略の基幹ユニットであり、グループ内の幅広いモデルに搭載可能となっている。
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