場当たり的な活動を許容する企業風土が長時間労働の要因に:キャリアニュース
産業能率大学総合研究所とHR総研が、「日本企業における社員の働き方に関する実態調査」の結果を発表。長時間労働が疑われる企業の風土は、社内調整を過度に重視し、定時に帰りにくいなど、長時間労働を招く要因に該当するものが多かった。
産業能率大学総合研究所とHR総研は2017年9月29日、「日本企業における社員の働き方に関する実態調査」の結果を発表した。
調査対象は、日本国内に事業所を置く企業の人事担当者。そのうち307社から回答を得た。昨年度における正社員1人当たりの1カ月平均の「実労働時間(管理監督者、短時間勤務、みなし労働時間制、裁量労働制の適用者を除く)」について尋ねたところ、全体では「171〜180時間」(29.0%)が最も多かった。次いで「181〜190時間」(20.8%)だった。
従業員規模別では、規模が大きな企業ほど法定労働時間を上回る「181時間以上」の回答割合が増える傾向が見られた。1000〜3000人未満の企業は「181時間以上」が55.6%だった。また、「201時間以上」と回答した企業は、300〜500人未満が20.0%、500〜1000人未満の企業の割合が14.3%と、他の規模と比べて多かった。
次に、風土について該当するものを選択してもらった。その結果、長時間労働の助長につながると思われる「ネガティブ要因」は、全体では「会議や打ち合わせにかけている時間が長い」(64.0%)が最も多かった。次いで「ささいなことでも事前に上司や組織の承諾を得なければならない」(43.8%)、「部門間での縄張り意識が強い」(41.7%)だった。
一方、長時間労働を抑制するであろう「ポジティブ要因」では、「休みを取ることを悪く言う雰囲気はない」(45.6%)、「社員同士が互いに助け合う雰囲気がある」(39.9%)の選択率が高かった。
場当たり的な活動を許容する風土が長時間労働の要因に
実労働時間別に見ると、201時間以上の長時間労働が疑われる企業では、ネガティブ要因の「会議や打ち合わせにかけている時間が長い」「ささいなことでも事前に上司や組織の承諾を得なければならない」「急な方針の変更が多い」「部門間での縄張り意識が強い」などの選択率がいずれも5割超えと、他の企業よりも高い傾向が見られた。
また、実労働時間201時間以上の企業は、ポジティブ要因の「できるだけ定時に帰ろうとする雰囲気がある」「個人の事情を尊重し合う雰囲気がある」「休みを取ることを悪く言う雰囲気はない」の選択率が他の企業よりも低く、3割を下回っていた。
社内調整を過度に重視し、場当たり的な活動を許容するような風土、そして、定時で帰ろうとしたり休みを取ったりしづらい雰囲気が、長時間労働を招く要因になっていると考えられる。
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