被検者の負担をより軽減する乳房専用PET装置の新バージョン:医療機器ニュース
島津製作所は、検査時の負担が少なく、かつ高精度な乳がん検査ができる乳房専用PET装置「Elmammo Avant Class」を発売した。検出器の配置やホール周辺の形状を見直し、胸壁部のブラインドエリアを縮小した。
島津製作所は2017年9月4日、検査時の負担が少なく、かつ高精度な乳がん検査ができる乳房専用PET装置「Elmammo Avant Class(エルマンモ アヴァン クラス)」を発売した。価格は3億5000万円(税別)からで、システム構成により異なる。
Elmammo Avant Classは、同社が2014年に製品化した乳房専用PET装置「Elmammo」の後継機となる。Elmammoと同様に感度が高く、全身PET装置の約2倍の解像度を持つ。
被検者は装置の上でうつ伏せになり、検出器ホールに片側ずつ乳房を入れるだけで検査ができる。マンモグラフィ検査のような乳房の圧迫による痛みがなく、片胸で5〜7分、位置取りを含めて15分前後で両胸の検査が完了する。
今回発売したElmammo Avant Classでは、被検者がうつ伏せの姿勢を取りやすいように、顔を乗せる部分のくぼみをさらに深くして首への負担を減らした。また、Elmammoよりも検出器を上部に配置し、検出器ホール周辺の形状を見直したり薄型クッションを採用することで、寝台上面と検出器間の距離を18mm短くした。これにより、検出器ホール深くに胸を入れやすくなり、胸壁部分のブラインドエリアが小さくなった。
従来は独立していたデータ収集用コンピュータとデータ処理コンピュータを統合し、1コンソール化することで、より省スペースになった。ユーザーインタフェースを刷新して操作性を向上させた他、ネットワークのセキュリティも強化した。
日本人女性に多いといわれる高濃度乳房は、検査方法によっては乳がんの発見が難しい場合がある。同社の乳房専用PET装置は、高濃度乳房の検査にも有効であるとされ、抗がん剤などの薬剤による治療効果判定への応用が期待されている。
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