統合進むCAE業界、各社がプラットフォームや設計者CAEをアピール:DMS2017まとめ(2/4 ページ)
CAE業界におけるツール展開は、着々と専門家以外へと進みつつある。一方でIoT時代を見越した買収やプラットフォーム構築の動きも活発だ。DMS2017における展示から、その内容をレポートする。
ソフトウェアクレイドルは2016年にMSCの傘下となった。MSCにとっては手薄だった流体分野を強化できる一方で、ソフトウェアクレイドルにとっては海外展開の足掛かりを得たことになる。「両社のツールの連携を強化しているところだ。買収前と変わらず各ツールの開発を進めており、ユーザーの方には引き続き安心して使ってもらえる」(説明員)。
ソフトウェアクレイドルのブースではPepperが次世代流体解析ソフトscFLOWの事例を紹介していた。同ツールのポイントである解析スピードについては「利用者から十分な優位性があるという評価をいただいている」という。
ソフトウェアクレイドルのブースでは、2016年に提供を開始したポリヘドラルメッシュの汎用(はんよう)流体解析ソフトウェア「scFLOW」を紹介していた。これは同社が提供している「SCRYU/Tetra」の後継として開発中のソフトウェアになる。SCRYU/Tetraは以前から計算速度は速いとされてきたが、さらなる高速化のため新製品の開発に踏み切った。scFLOWでは、設計者がなじみやすいようなUIの変更を行った。材料条件などの部品ごとの設定を可能にし、よりCAD寄りにしたという。
CAEの活用シーンが拡大
DMSでは、CAEを専門家だけでなく設計者などに利用してもらおうという取り組みが各所で見られた。設計者向けのCAEプラットフォーム「ANSYS AIM」を前面に押し出していたのが、アンシス・ジャパンのブースだ。ANSYS AIMは構造、流体、電熱および電磁界、押出成形の解析が行えるCAEプラットフォーム。また流体と構造などの連携も可能だ。18.0から18.1へのバージョンアップにあたり、完全な日本語対応となった。
アンシスが持つ各種の解析ツールがベースになっており、「一部機能の制限はあるものの、単独での購入に比べてはるかに安価に各種の解析を行うことができる」(説明員)。ANSYS AIMのバックでは「ANSYS Workbench」が動作している。近年は自分の専門分野だけでなく他分野も複合的に見る必要が高まっており、そういった状況にも対応できるという。
CAEソリューションズはシーメンスの「Solid Edge」や、ダッソー・システムズの「CATIA V5」、PTCの「Creo」など主要CADのアドオンとして使用できる、メンター・グラフィックスの熱流体解析ソフトウェア「FloEFD」を紹介していた。「FloEFD」は直感的な操作を重視した設計者向けの熱流体解析ソフト。主要なCADとの完全統合により3次元CAD形状をそのまま利用することができ、メッシュの自動生成機能も備える。設計者向けではあるが、高度なスライディングメッシュ機能も用意されている。非定常回転流れや、時間依存の角速度流れを扱うことが可能だ。
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