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HILSを使ってECUをテストする(その2)いまさら聞けないHILS入門(10)(2/3 ページ)

車載システムの開発に不可欠なものとなっているHILSについて解説する本連載。今回は前回に引き続き、HILSを用いてどのようにECUをテストするかについて説明します。アイドリング機能や回転数制御、過回転防止機能の手動テストはどのように行うのでしょうか。

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HILS機能を使ってテスト条件を設定する仕組み

 ここで、HILSではどのようにテスト条件を設定するかを確認しておきましょう。

 図2は、HILSシステム内のデーターフローをHILSの要素と関連付けて表したものの一例です。ここで、HILSシステムエンジンとは、プラントモデルや入出力インタフェースなどHILSの構成要素について、設定に基づいてデータの流れをつかさどり、プラントモデルと入出力インタフェースをサイクル時間ごとに実行して、HILS機能を実現するプログラムです。HILSシステムエンジンは、さらにホストコンピュータのユーザーインタフェースの操作をECUに伝えたり、測定データをホストコンピュータに送出したり、プラントモデルが生成した信号データとプラントモデル外で発生した信号データとを切り替えたりする機能などを持っています。

図2
図2 HILS システム内のデーターフロー(クリックで拡大)

 このデータ切り替え機能を使用することにより、プラントモデルの状態を強制的に変化させてテスト条件を設定することができます。例えば、表3の手順2のテスト条件:エンジン回転数3000rpmの設定を行ってみましょう(図4参照)。

※注)手順1の200rpmでもほぼ同じですが、直前の状態がエンジン停止で、エンジン回転数を変化する通常の制御ループとは異なるため手順2で説明します。

 テスト前の通常状態では、プラントモデルが出力しているエンジン回転数が有効です。①の時点でエンジン回転数を遮断し、代わりにテスト条件となる3000rpmに切り替えます。エンジン回転数の突然の変化によってECUが故障検出することがないように、回転数を徐々に変化させます。3000rpmに達した②の時点で回転数を一定に保ち、プラントモデルとECUの状態が安定させます。③の時点でプラントモデルが出力するエンジン回転数に戻すことにより、テスト条件が整いアイドリング制御機能のテスト開始となります。

図3
図3 アイドリング機能のテスト条件設定(1)(クリックで拡大)
図4
図4 アイドリング機能のテスト条件設定(2)(クリックで拡大)

アイドリング機能のテストの結果分析・評価

 表3の手順に従ってテストを行うと、手順1では図3に示すように、200rpmからアイドリング噴射量マップに沿って噴射量を減らしつつ回転数が増加し、アイドリング回転数に達すると、回転数と噴射量が一定の変動値で安定しています。図1においては、マークのポイントを中心として回転数と噴射量が一定の変動値で安定しており、正常なアイドリング状態と評価できます。

 手順2の3000rpmからアイドリングに至る条件では、図4の③以降に示すように、回転数1000rpmまでは無噴射のまま回転数が低下し、1000rpm以下ではアイドリング噴射量マップに沿って回転数が減少するとともに噴射量が増加します。そしてアイドリング回転数に達すると、回転数と噴射量が安定します。図1では、矢印2〜矢印3に示すように回転数の減少とともに噴射量が増加し、マークのポイントを中心として安定しており合格と評価できます。

 噴射量以外のスロットルバルブとイグニッションタイミングについてもアイドリング回転数に到達後の安定した状態の値を測定し、仕様値と比較評価します。

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