「インダストリー4.0の本質はCPS、その手段がIoT」リコーの実践現場から:製造業IoT(3/4 ページ)
リコー ICT研究所の技師長 佐藤敏明氏がインダストリー4.0やIoTについて、自社やシーメンスの例を挙げて分かりやすく説明した。現状の技術における、IoTやビッグデータ分析の限界についても述べた。
リコーにおけるインダストリー4.0の実践
CPSは設計製造の世界に限らず、あらゆるビジネス分野で適用できるという。佐藤氏はリコーでの取り組みを例に説明した。リコーが提供する「@Remote」という出力機器の遠隔管理サービスは、同社のデジタル複合機やレーザープリンタをインターネット経由でつないで遠隔管理する仕組みだ。つまり、IoTのシステムである。
機器は顧客の任意でインターネットに常時接続する。遠隔の機器から得られた情報はインターネットを経由してリコーのテクニカルコールセンターのサーバに収集される。2016年時点で、全世界で240万台ほどの機器と通信しているという。
同センターで、機器のカウンター値やトナー残量、機器の状態などを日々監視し、トナー切れや故障発生時に対処できるようにしている。また集めたデータを基に、製品の利用状況の分析も行っている。
佐藤氏は日本を含む5カ国の平均プリント枚数の日次変動グラフを示した。データ収集の対象となっている製品がほぼオフィスユーズであるためか、企業の労働状況がデータに顕著に表れた。日本の場合はゴールデンウイークやお盆休み、年末年始などでグラフが大きく落ち込んでいる。また中国では国慶節や旧正月付近が大きく落ち込む、欧米は夏季休暇近辺に少しだけ落ち込んでいる期間が長いというように、各国で線形に特徴が見られる。
「日本の年末年始のデータを見ると、通常営業日と比べて1割くらいの出力がある。リコーのサービスステーションは年末年始で閉めてしまうが、本当にそれでいいのか、なんとかしなくていいのかという議論が出ている」(佐藤氏)
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