ARMの車載向け次世代画像処理プロセッサ、ISO26262やIEC61508に準拠:車載半導体
ARMは、車載向けの次世代画像処理プロセッサ「Mali Cameraファミリ」を発表した。このファミリの第1弾となる製品は「ARM Mali-C71」で、先進運転支援システム用のSoCへの搭載を前提に設計した。車載向けの厳しい使用条件に対応する。複数の車載カメラを管理する高度な画像処理能力を備えるとともに、自動車向け機能安全規格にも適合するとしている。
ARMは2017年4月25日(現地時間)、車載向けの次世代画像処理プロセッサ「Mali Cameraファミリ」を発表した。このファミリの第1弾となる製品は「ARM Mali-C71」で、先進運転支援システム(ADAS)用のSoC(System on Chip)への搭載を前提に設計した。車載向けの厳しい使用条件に対応する。複数の車載カメラを管理する高度な画像処理能力を備えるとともに、自動車向け機能安全規格にも適合するとしている。
ADASの新しいアプリケーションは画像処理の需要が高まると見込んでいる。周辺監視や障害物検知だけでなく、電子ミラーやドライバーの眠気検知などカメラを必要とする機能が増える。そのため、今後3年で車両1台に12台のカメラが採用されるとの試算もある。
こうした技術の傾向を受けて、画像信号プロセッサはエンコード処理だけでなく、画像認識のために映像を統合しなければならない。また、ADAS用のSoCは車載用としての安全性と信頼性を満たしながら複数の車載カメラを管理する必要がある。1つのSoCでこうした要件を両立するのは「非常に困難」(ARM)となっているという。これに対し、Mali-C71は車載用カメラとして可能な限り高い鮮明度と信頼性を実現するという。
従来のミラーをディスプレイとカメラで置き換える電子ミラーで、Mali-C71は最大24ストップの超ワイドダイナミックレンジを提供する。これは場合によって人間の視力を上回る水準だとしている。なお、デジタル一眼レフの高級機種で約15ストップのダイナミックレンジとなる。
障害物の検出やドライバー眠気検知では機能安全規格への適合が要求されるため、対応できるMali-C71のセーフティーパックの提供を予定している。自動車向けの機能安全規格ISO 26262の最も厳しい安全要求レベルであるASIL D、一般産業機器向け機能安全規格IEC 61508のSIL 3などに準拠できる設計となっている。
Mali-C71の画像信号プロセッサは300以上の専用障害検出回路により、低遅延で高度なエラー検出機能を実現する。Mali-C71は画像信号プロセッサ、ホワイトバランスや露出を自動制御するためのフルリファレンスソフトウェアを提供するとともに、機能安全規格に適合する総合的な車載ソフトウェアの開発を計画している。
Mali-C71は1つのハードウェアIPで単一の画像処理系統から異なる2つの出力を生成する。ディスプレイに表示するデータの生成と、画像認識で使用するためのデータ処理の両方に対応でき、ドライバーの手動運転の支援から自動運転まで開発を広くカバーする。
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