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「トポロジー最適化」「メッシュレスCAE」とは何か――最新のCAD・CAE動向3D設計推進者の眼(19)(2/3 ページ)

機械メーカーで3D CAD運用や公差設計/解析を推進する筆者から見た製造業やメカ設計の現場とは。今回はCAEの最新技術について紹介する。

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 他にもCAEを用いたさまざまな最適化ツールがありますが、最適化というと、パラメータを自動設定するのか、設計計算をベースにする、経験値の高い設計者が手動で切り替えるのかは別にしても、このような手法が用いられてきたのだと思います。

 CAEに関した最適化の話をしましたが、私の経験では、単体部品で加工するよりも複数構造の部品にした方が安価に加工できるなどの、加工を意識した最適化もありました。

 切削加工を行う上で、いかに材料を捨てないで済むのか、加工時間を短くすることができるのかという視点です。熟練の資材担当者には良く怒られながら、このような分割などの形状変更を行ったものです。

 今日では、複雑な形状の部品も多軸加工機で加工が出来るようになりましたが、産業機械の場合、あまり複雑ではない形状部品が多いことから、2次元、2.5次元加工が多いことから、このようにCAEと加工上の視点による最適化が図られているのだと思われます。

 トポロジー最適化となると、その内容はこれまでの最適化とは異なります。部品に穴をあけると言えば良いでしょうか。有限要素法において、応力がない部分、力がかかっていない部分については、その部位の材料は不要と考えて、元の形状から、連続的な形状変更を行います。

 これまでのパラメータとして切り替えながら寸法変更を行っていたものと異なり、ダイナミックに形状変更を行うことができるわけです。その最適化された初期モデルは有機的な印象を持っています。このようなトポロジー最適化を行ったモデルはソリッドモデル化が可能ですが、どのような加工を行うか考えると、通常の切削加工ではなく、3Dプリンタを用いた加工が最も適しているように考えます。

 3Dプリンタで使用できる樹脂材料の多様化、高強度化、金属材料が適用できるようになったことが、このトポロジー最適化を後押ししているように思えます。もちろん、多軸加工機による加工も可能ですが、その加工時間や切削量というものは大きいものになります。トポロジー最適化により設計されたものが、どのような製品に適用されていくのか、製造工程(プロセス)においてどのような分野に適応されていくのかは、まだ私自身は分かりません。

 まずは、既存のCAEを用いた最適化を確立することが必要だと私は考えます。

それさえ出来ていないのにトポロジー最適化に飛びつくのはどうだろうかとも思いますが、新たな最適化の考え方として、ここを探求することは必要ではないかと考えると同時に、パラメータによらない連続的、かつダイナミックな最適化というものがすぐに活用できる製品があるように思えてなりません。

 SWW2017においては、Xdesignでのトポロジー最適化設計を表す言葉として、CADについて、これまでの、Computer Aided Design:コンピュータが設計者(設計)を支援するシステムから、Computer Augment Design:コンピュータが設計者(設計)の能力を拡張するものになるべきであるという言葉を聞くことがありました。

 トポロジー最適化とは、まさにそのようなイメージです。これからはAI(Artificial Intelligence)人工知能によって、更に加速するものだと考えます。でも、概念だけは、人間ができるアナログ作業であることはどうしても私としては協調したいし、そこが設計者の仕事であるとも言いたいですね。

メッシュレスCAEを試してみた

 SWW2017では、「SIMSOLID」(SIMSOLID社製)の展示がありました。「メッシュレスFEA」と紹介されていました。有限要素法を学んだ私にとってみれば、「メッシュレスって何?」という感じです。

 有限要素法の3大要素としては、以下があります。

  1. はり要素⇒ビーム
  2. 板要素⇒シェル
  3. 立体要素⇒ソリッド

 SWW2017展示会場で受けた説明によれば、このSIMSOLIDも有限要素法の一種であるものの、これまでの有限要素法とは異なり、「自由度を制限している」とのことです。また、「ラティス構造(格子構造)」を用いていると聞きました。また「マルチパスアダプティブ解析」(multi-pass adaptive analysis)という手法を用いていて、解析の精度を上げるように制御しています。

 マルチパスアダプティブ解析とは、「1回ごとの解析において、1つ前の解析結果との誤差の収束状態を見ながら、『アダプティブP法』におけるP次数を上げていく方法」だということです。

 この新しい有限要素法と解析手法によって、早い解析処理を行っているとのことでした。更に、一般的な有限要素法に比べれば、その解析結果は、メッシュの自由度を制約していることにより、「精度はやや低いかもしれないけれど、設計初期段階や複雑なアセンブリ構造などにおいては、きっと役に立つだろう」ということでした。

 仕組みについてはひとまず理解できましたが、実際に使ってみないことには有用性は分かりません。ということで、30日間無償トライアル版があると聞いていたので、試してみました。なお、無償トライアル版を使用するには、アクティベーションが必要となります。


SOLIDWORKS SIMULATIONによるvon Mises応力結果


SOLIDWORKS SIMULATIONによる荷重方向の変位結果
筆者注:自分でも試してみようという方は各自の責任でお願いします。

 SIMSOLIDをインストールすると、SOLIDWORKS2017にアイコンができていました。


SIMOLIDメニュー

 「SOLIDWORKSのファイルも開けるのかな?」と思って、「Open in SIMSOLID」をクリックし、ファイルを保存したディレクトリを探しても、何も見つかりません……。対応する拡張子をよく確認したら、STLのみでした。STLファイルは、3Dプリンタでも使われている形式ですね。三角形の頂点の座標と垂直方向(法線ベクトル)によって定義された小さい三角形のポリゴンの集合により、立体を表現したデータ形式です。

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