モデル審査をしない史上初のETロボコン!? 新設の「ガレッジニア部門」とは:ETロボコン2017(1/3 ページ)
「ETロボコン2017」では、モデル審査を行わない「ガレッジニア部門」が新設される。「つくって動かす」をテーマとするガレッジニア部門と、デベロッパーズ部門のコースと新要素などを紹介する。
ETロボコン実行委員会は2017年2月21日、「ETロボコン(正式名称:ETソフトウェアデザインロボットコンテスト)2017」の開催に向けた記者説明会を開催した。
ETロボコンは、組み込みエンジニアの人材育成と教育機会の創出を目的とするロボットコンテスト(以下、ロボコン)である。一般的なロボコンとは異なり、同じ走行体(ハードウェア)を用いて、ソフトウェアやモデリングの良しあしを競い合う。組み込み分野におけるソフトウェア開発の教育を目的とするロボコンなのだ。
第1回の開催から16年目を迎えるETロボコン2017は、2017年2月25日の東京を皮切りに、3月25日まで全国15カ所で実施説明会を行う。参加申し込み受付期間は3月1日〜4月6日の17時まで(学生向けに4月27日までキャンセルが可能な仮登録制度もあり)。5〜6月にかけてETロボコンに向けた技術教育、7〜8月に試走会、9月2日〜10月1日に全国12カ所で地区大会を行う。そして地区大会の成績優秀チームは「組込み総合技術展 Embedded Technology 2017(ET2017)」(2017年11月15〜17日、パシフィコ横浜)で開催されるチャンピオンシップ大会に参加することになる。
ETロボコンの最大の特徴は、コースの走行やゲームのクリアといった競技だけでなく、組み込みソフトウェア構築の基礎となるモデリングを評価するモデル審査の結果も重視していることだ。IoT(モノのインターネット)時代を迎え、組み込みソフトウェア開発におけるモデリングの重要性は増している。そのモデリングをロボコンという形で学べることから、2009年から安定して300チーム以上が参加するようになっている。
新設の「ガレッジニア部門」とは?
さて、ここまで説明したETロボコンは、走行体やルールなどに細かい変更はあっても、コースを走行する競技とモデル審査を行う「デベロッパー部門」の話だ。デベロッパー部門は、モデリング開発初心者や初級者向けの「プライマリー・クラス」と、モデリング開発の応用編となる「アドバンスト・クラス」の2つに分かれている。両クラスとも、ETロボコン2017では若干のルール変更などがあるものの、前回のETロボコン2016と比べて大きな変更はない。
今回、ある意味でETロボコンのコンセプトをくつがえすと言ってもいい部門が新設された。「“つくりだす”次世代エンジニアの育成の場」(ETロボコン実行委員会 本部運営委員長の小林靖英氏)という「ガレッジニア部門」である。
ガレッジニア部門の「ガレッジニア」はガレージ+エンジニアから生まれた造語である。小林氏は「組み込みソフトウェアに携わる学生や技術者にとって、最近は一から新しいものを作る機会があまりないのではないだろうか。既にあるものに手を加える派生開発ばかりしていないか。そこで、作りたいものを作って動かすというコンセプトの新部門を設けることにした」と説明する。
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