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菓子缶の小ロット販売で“黒子”脱却、「お菓子のミカタ」が見据えるB2B2C戦略イノベーションで戦う中小製造業の舞台裏(12)(3/4 ページ)

街のお菓子屋さん向けに菓子用の缶パッケージを小ロット販売しているWebサイト「お菓子のミカタ」。同サイトを運営しているのは創業70年を迎える大阪製罐だ。同社の3代目社長である清水雄一郎氏は、街のお菓子屋さんをサポートする「お菓子のミカタ」の先に、B2B2Cのビジネスモデルを見据えている。

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Webサイトのリニューアルで新規顧客の獲得

 2010年に大阪製罐はWebサイトをリニューアルした。缶パッケージを利用するメリットを分かりやすい言葉で説明し、ユーザーに役立つ情報を小まめに更新するようにした。

するとWebサイトからの問い合わせが増えた。

 サイトをリニューアルして以来、1日1件のペースで新規の問い合わせが今も来る。毎年20〜25件の新規の取引が始まるようになった。缶パッケージの使用には初期投資も必要になるため、リピーター率も高い。

 清水氏は、問い合わせの中に「缶を100個欲しい」といった小ロットの注文があることに気づいた。

 同社がオリジナル缶を製作した場合、金型を起こすのには500万円以上かかる。既存の型を活用しても自店舗用のオリジナル缶を作ると初期投資が必要で、最小ロットは3000缶だ。個店には負担が大きい。

 一方で、個店オーナーが必要とするのは100個。このギャップを埋めることができれば、街の洋菓子屋さんに缶パッケージを使ってもらえる。

「こちらで汎用性の高いサイズとデザインを用意して、提供すれば喜んでもらえるのでは」と考えた。

 試作品を作り、モニター店で利用してもらったところ評判がよく、洋菓子向け包装資材を扱う商社から引き合いが来るほどだった。

 全国に洋菓子屋が何店舗あるのか、直接調査した統計はない。しかし、経済産業省調査の商業統計や工業統計から約3万店はあると推測できるそうだ。

年5回発行するニュースレター
年5回発行するニュースレター。季節ごとのイベントやギフト缶を用いた商品づくりのアイデアを紹介

 そうした街の個店に缶パッケージを活用してほしい。

 清水氏は、個店向けに情報発信を開始した。ブログ、インスタグラムなどのSNSを活用するとともに、年5回のニュースレターの発行も始めた。徐々に個店からの引き合いが増え、2014年に個店向けの既製缶販売部門を「お菓子のミカタ」として独立サイトでオープンした。

 今、「お菓子のミカタ」には約20種類の缶パッケージが用意されている。絵本作家の谷口智則さんとコラボレーションした「100人サンタ缶」や、宝石を模したレリーフが美しいビジュー缶、毎月の星座カードをあしらうことができる星座缶など、インテリアになりそうな缶がサイトの商品紹介に並ぶ。

 「SNSで話題になっているビジュー缶が欲しいから、扱っているケーキ屋さんを教えてほしい」という問い合わせもあったそうだ。

 雑貨屋さんでは買えない。どこで手に入るか分からない。偶然、ケーキ屋さんで見つけられたらラッキー。缶には、お店オリジナルのおいしいお菓子が詰まっている。

 かわいい小物とおいしいお菓子、そして口コミで広がる情報が好きな女子にはたまらない仕掛けだ。

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