いまさら聞けないSIGFOXネットワーク入門:産業用ネットワーク技術解説(2/3 ページ)
IoTが拡大する中でネットワーク技術は必須となります。そのIoT向けのネットワーク技術として注目されているのが「SIGFOXネットワーク」です。本稿では、SIGFOXとは何か、どういう価値があるのかという点を分かりやすく解説します。
センサーネットワークに特化し、年間数百円で利用可能
ここからはSIGFOXネットワークの特徴を紹介していきます。SIGFOXネットワークの特徴として、まず1回12バイトのデータを1日最大140回送信する、極めて軽量なデータを扱うネットワークであることが挙げられます。大量のデバイス接続が行われるセンサーネットワークに特化したネットワーク技術だといえます。
通信速度 | 100bps |
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データ容量 | 1回あたり12バイトのデータをアップロード |
通信回数 | 最大140回/日 |
無線方式 | ウルトラナローバンド:UNB |
周波数帯 | 920MHz帯 |
伝送距離 | 最大数十キロメートル |
海外ローミング | 可 |
一見するとロースペックの通信規格に見えますが、このシンプルさが、前述した消費電力やコストといったIoTの課題解決につながります。扱うデータが小さくなれば、無線チップや通信モジュールは小型になり消費電力も小さくなります。既に海外では電池で10年稼働するといわれるSIGFOXネットワーク用のIoTデバイスも開発されています。無線チップについては1.5ドルで販売されIoTデバイスの開発コスト低減につながっています。また通信料金については、接続デバイス数(回線数)と通信回数に応じた設定のため、年額数百円と非常に安価に利用することが可能です。
1回あたり12バイトの容量の通信というと非常に小さく感じますが、例えばGPSで位置情報を送信した場合、その容量は8バイト程度です。位置情報に付加して、その地点の温度や振動などの情報を送ることができます。このような点からもセンサーネットワークに特化しているといえるでしょう。
狭帯域無線通信を使う意味
SIGFOXネットワークの上り通信方式は、100Hz幅という狭帯域の無線通信(ウルトラナローバンド:UNB)となっています。日本においては、920MHz帯を使用し、単位チャネル200kHz幅内において、各SIGFOXデバイスが100Hz幅の信号をランダム送信します。100Hz幅という狭帯域通信にすることで、スペクトラム密度を上げられ、干渉に強いという特徴があります。
また各SIGFOXデバイスは、1つのデータを送信するにあたり、異なる周波数で3回連続送信をします。これは、Time Diversity、Frequency Diversityと呼ばれています。これにより、あるタイミングで基地局受信に失敗したとしても、複数回の送信でカバーできます。さらに、SIGFOXデバイスから送信されたデータは、受信可能な基地局全てで受信することが可能です。これは、Space Diversityと呼ばれるものであり、IoTデバイスと基地局間に干渉源となる装置があり、その間の通信に障害を与えるような状況においても、他の基地局受信で補完できるメリットがあります。
このような特徴を生かし、耐干渉性と耐障害性(基地局1局が故障した場合においても、他の基地局でカバーすることが可能)を高めています。
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