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“モノづくりの神髄”を理解すれば、必ず原価は下がる!【後編】実践! IE;磐石モノづくりの革新的原価低減手法(14)(3/4 ページ)

革新的な原価低減を推進していくための考え方や手法について解説する連載「磐石モノづくりの革新的原価低減手法」。原価低減活動に役立つ“モノづくりの神髄”を紹介する3回シリーズの後編となる今回は、「トヨタ生産方式」を構成する二本柱の1つである「ジャスト・イン・タイム」について考えます。

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4.「ジャスト・イン・タイム生産方式」を達成するための心構え

 TPSに代表される「ジャスト・イン・タイム(JIT;Just in Time)生産方式」の構築は、並大抵の努力では実現できません。まず、単なる改善として進めるのではなく、“経営課題”として胆力をもって取り組んでいくことが重要です。

 とりわけ、惑わされる用語に「最適……」があります。“最適仕掛かり量”“最適在庫量”“最適購入ロットサイズ”“最適製造ロットサイズ”“最適加工精度”“最適不良率”“最適故障率”などなど、怪しげな用語も含めれば限りなくあります。しかし、よくよく考えてみれば、これらは全て損金が発生しますので理想はゼロが正しく、それを追い求めなければなりません。

 ところが、実際には「最適……」という言葉にだまされて現状に振り回されています。その損失をゼロにできそうもないから、ありもしない最適値(実際には“最小値”)を求めて責任回避をしようとする態度をあらためていかなければなりません。つまり、「最適」を求める余り、そこから抜け出せない態度をあらためていくことが重要です。目標は、あくまでゼロです。

 「必要なモノを必要な時に、必要なだけ造る」ことが理想だとすれば、それに向かって道を切り開いていくことが重要です。理論的にできることが、できるようになるまでには大変な努力が必要であることはいうまでもありません。だからこそ、他社との差別化が可能となるわけです。誰でも簡単に実行できるようなレベルのことでは、他社との差別化は望めないのは明らかです。

5.“分析アプローチ”から“設計アプローチ”へ

 トヨタ生産方式の最大の特徴は、ムダの排除ですが、これまた厄介なことに“ムダというのは、ムダと気付かなければムダではない”という事実があります。従って、「何がムダか」の見方が分からない人が、いくら現場を調査・分析するという分析アプローチをしても「改善が難しい!」という“言い訳”ばかりが増えるだけです。

 よくよく考えてみれば、“ムダの排除”は改善手段に過ぎません。目的は生産性の向上です。そのような考え方をすると、作業分析により、何がムダかを考える“分析アプローチ”よりも、目的達成のためのチエを出していく“設計アプローチ”の方が効果的であることに気付きます。

 例えば、段取り作業の作業要素別に所要時間を測定したからといって何かが出てくるわけではありません。このような場合は、はじめからハッキリとした目標を設定しておくことが必要です。『5分で段取り替えするには、どのようなことができれば可能になるか?』といった、設計的(デザイン的)な考え方で、それに向かってチエをだしていくことが重要です。明確な設計的な考え方さえ持っていれば、極端な話、改善初心者でもシングル段取り化(10分未満で内段取りを終了させること)の成功の糸口を見つけられるはずです。

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