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製造業をカイゼンできるのはIoTだけじゃない、“からくり”がもたらす安全と効率メイドインジャパンの現場力(7)(2/4 ページ)

ロボットを導入するのは難しいが、手作業では効率化や安全性に課題がある……生産ラインのそんな困りごとを解決するのが「からくり」だ。動力に頼らず、ワークの自重やシンプルな動きを利用することで、安全に効率を高められる。知恵と発想がつまったからくりの数々を紹介する。

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ボルトの向きを一発でそろえるには?

 ボルトを定数量取り出せるからくりは、数社から出展されていたが、中でも面白かったのはトヨタ自動車の生産技術部門が出展した「縦に倣え!」だった。ボルトを上部に投げ込むと上下方向を整えてレールに充填(じゅうてん)されていき、1回分の使用量をワンアクションで取り出せるようにしたものである。

 しかもレールから取り出された1回分のボルトをパイプ製のマガジンに落とし込み、1本ずつ抜き取りながら使えるようにもしている。トランスミッションケースやエンジンカバーなど同じサイズのボルトを何本も使って締め付ける箇所では、ボルトの本数や向きをそろえるのに手間取る無駄を無くして、二度手間や組み付け忘れを防ぐ方法にもなりそうだ。

345 定数量のボルトを、向きをそろえてスムーズに取り出せるようにする。本数の確認などの手間が減らせる(クリックして拡大)

バリ取り君

 アイシン・エィ・ダブリュのピニオンギアのバリを取り去るからくりもユニークで素晴らしいものだった。その名の通り「バリ取り君」は、これまで何代かに渡って進化してきたものだ。従来はワーク(加工物)の脱着作業は手作業で行っていたが、最新バージョンでは脱着をレバーの動きに連動させることで半自動化を実現した。

 作業者は加工前のワークを上段のラックに並べ、ワークを固定するレバーを上下させるだけでワークの脱着も行える。完成したワークはバリ取りのハンドルに連動してベルトコンベヤーで下段のラックに運ばれる。一連の動きが連動し、両手でレバーとハンドルを操作するだけで作業が完結するのである。

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89 ワークの脱着はバリ取りのレバーの動きに連動して半自動で行う(クリックして拡大)

あのおじさんが掃除してくれる

 AGV(無人搬送車)の動作を助けるようなユニークなからくりも存在した。「レレレノレお掃除ですか」は加工作業によって発生する鉄粉により磁気テープの読み取りに支障が出ることから、クランクでホウキを掃かせて鉄粉をちり取りに集めるからくりだ。

 動力は台車の車輪の回転を利用する。従来、AGVの走路は一日数回、定期的に掃除しなければ読み取りエラーを起こしてしまっていたが、この「レレレノレお掃除ですか」を組み付けたことで、まったくのメンテナンスフリーになったそうだ。掃除の手間が要らなくなっただけでなく、稼働中の立ち往生などの心配も要らなくなったのは、相当な改善といえるだろう。

1415 台車の車輪の回転を利用して掃除することにより、支障のないAGVの運行が可能になる(クリックして拡大)

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