サービスのグローバルマザー工場へ、生産撤退後に生きた日本の現場力:メイドインジャパンの現場力(6)(1/4 ページ)
2002年にパーソナルコンピュータの開発生産事業から撤退し、NEC製のPCやマザーボードの保守サービスサポート事業に転換したNECパーソナルコンピュータ群馬事業所。同事業所はNECおよびLenovo製品のサポートサービスの戦略拠点として存在感を高め、グローバルマザー工場としての役割を担おうとしている。
NECのPC事業は2011年に中国Lenovoグループとの合弁会社に移管された。NECパーソナルコンピュータ(NECPC)はその移管の動きの中で、NECパーソナルプロダクツのPC事業を分離する形で誕生した。その中で2002年にPCの開発生産事業から撤退し、NEC製PCやマザーボード(MB)の保守サービスサポート事業に転換していたNECパーソナルコンピュータ群馬事業所(群馬県太田市)は、2014年からLenovoのタブレット製品の修理を始め、2016年から同PC製品の修理も取り込んだ。2017年にはLenovoのMBの修理も始める予定で、NEC製品およびLenovo製品のサポートサービス機能を幅広く備えた、グローバルなマザーファクトリーとしての役割を担おうとしている。サービスやサポートにおける日本の現場力を追う。
2002年に保守サービス・サポート業務に集約
現在、コンシューマー向けを中心としたPCおよび周辺機器の引き取り修理事業、PCの中古再生事業を展開するNECPC群馬事業所は1984年にPCの開発と生産を行うNEC群馬として開設された。同年にPC-9801m2を初出荷するなど最盛期にかけNECの主力製品を相次いで市場に送り出したが、2002年に大きく業態を変更。開発と生産は米沢事業所(山形県米沢市)に集約し、同事業所はコールセンターと修理センターなど保守サービスサポート事業に特化した形となった。その後、2011年にLenovoとの合弁会社が発足。2014年6月からLenovoのタブレット製品の修理を開始し、2016年7月からLenovo全PC製品の修理にも取り組んでいる。
従業員数は約550人。ほとんどがNECパーソナルコンピュータのサービス本部に所属する。事業所の敷地面積は8万7800平方メートルで、敷地内に4階建てのオフィスビル(オフィス、コールセンター、会議室)と3階建の工場棟(1階がNECとLenovo製品修理、部品倉庫、2階がNECPCのマザーボード修理、NECのリユースPC)、そして平屋建ての部屋に倉庫を設けている。
4つの柱で顧客満足度向上
NECPCの修理サポート戦略は「4つの柱を核にした、顧客満足度向上『CS No.1』の追求にある」(NECパーソナルコンピュータ 東日本テクニカルセンター センター長の土屋晃氏)という。その4つの柱とは以下である。
- 問診(故障診断)の確かさ(121コンタクトセンター、リモート診断)
- 修理の確かさ(修理完了後検査の強化、修理部品の品質改善)
- 修理価格・修理内容の分かりやすさ
- 修理の速さ
このうち修理速度については顧客のダウンタイム短縮を図るために、1日修理の拡大を目指す。さらに修理を受けた際の顧客の声を、開発および生産部門へフィードバックすることにも力を注いでいる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.