IoTシステム全体を見据えた「Watson IoT」の強み:「ET 2016」開催直前取材
日本アイ・ビー・エムは、2016年11月16〜18日にパシフィコ横浜で開催される「Embedded Technology 2016」「IoT Technology 2016」で、IoTを活用する上で必要な各種APIと連携できるソフトウェア開発環境などを提供する「Watson IoT Platform」を中心に展示する。
Watson IoT Platform
2016年11月16〜18日、パシフィコ横浜で「Embedded Technology 2016(ET 2016)」「IoT Technology 2016」が開催される。EE Times Japan/MONOistでは、同展示会の開催に先駆けて、出展企業に展示する内容の事前取材を進めている。
今回は、IoTを活用する上で必要な各種APIと連携できるソフトウェア開発環境などを提供する「Watson IoT Platform(以下、Watson IoT)」を中心に展示する日本アイ・ビー・エムに聞いた。Watson IoTとは、IBMが提供するPaaS(Platform as a Service)である「Bluemix」上で動作するソリューションとなっている。
例えば、2016年6月にCisco Systems(シスコ)と提携しており、Watson IoTではシスコのエッジ分析機能を利用できるようになっている。IoT時代となり、デバイスやセンサーから膨大なデータをリアルタイムに収集、蓄積できるようになった。しかし、それらのビッグデータを有効に活用するためには、高帯域幅のネットワークに遅延なく接続しなければならない。この問題を解消するために、エッジ側でのデータ処理が注目を浴びている。IBMとシスコは、リリース上で「データを収集する時点で即座に実用的な洞察を得ることが可能な、新しい方法を共同で提供していく」とコメントしている。
他にも、ブロックチェーン技術や、2015年10月にThe Weather Companyのデジタル資産買収によって取得した気象データなども活用できるという。
もちろん、コグニティブ・システム「Watson」を活用することも可能だ。日本アイ・ビー・エムのWatson IoT事業部テクニカルセールス&ソリューションで部長を務める永井修氏は、「工場などの機器修理では、現場に慣れていない作業員が対応することも多い。そのようなときに、Watsonが作業員にマニュアルを教えるといった活用方法が考えられる。マニュアルを教えるソリューションは他にも存在するが、Watsonは設備の保全記録などの過去データから自動的に学習を行えるといった特長がある」と語る。
展示では、Watson IoTのアプリケーションと連携できるソフトウェア群として、組み込み機器の設計開発を支援するツール「Rational」や設備管理ソリューション「Maximo」、予知保全の仕組みを支援するソリューション「PMQ」も紹介する。
また、IBMでは業界別のIoTプラットフォームの提供も進めている。現在、オートモーティブとエレクトロニクス業界向けの2種類が活用できる。オートモーティブ業界向けには、金融業界で培った技術を活用し、ビッグデータを高速に処理できるエンジンなどを提供。ホンダが、F1マシンのレーシングデータ解析基盤として既に採用している。
エレクトロニクス業界向けには、冷蔵庫や洗濯機などの家電向けに、ユーザー登録や使用状況のモニタリングなどを可能にする基盤を提供しているという。展示ブースでは、これらの2つのIoTプラットフォームを用いたデモンストレーションも披露される。
パートナーによる展示も
これまで紹介してきたソリューションは、クラウド上にデータを上げた後に活用するものである。しかし、IoTシステム全体をカバーするには、センサーやゲートウェイ、各種ソフトウェアが必要だ。そこで、日本IBMはWatson IoT事業を強化するため、ビジネスパートナーとのエコシステムを構築するプログラムを2016年7月に開始している。
半導体・電子部品メーカーでは、アームやアルプス電気、京セラ、日本テキサス・インスツルメンツ(50音順)などが名を連ねており、2016年11月現在で約30社が参加している。展示ブースでは、パートナー各社の展示も大規模に行われる。
永井氏は、「各社がIoTプラットフォームの提供を進めているが、当社はWatsonやPMQにおけるアナリティクスで絶対的な経験値を持っている。また、Rationalのような設計開発ツールを含めた、IoTシステム全体を見据えてソリューションを提供できる企業は他にないと思っている。展示ブースでは、これらを感じてもらいたい」と語る。
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