高信頼性に特化した産業用NANDフラッシュ制御IC:「ET 2016」開催直前取材:
TDKは2016年11月14日、パラレルATAに対応した産業用向けNAND型フラッシュメモリ制御IC「GBDriver RA9シリーズ」を発表した。同製品は、2016年11月16〜18日にパシフィコ横浜で開催される「Embedded Technology 2016」「IoT Technology 2016」に展示する。
産業用途で要望の多いパラレルATA対応
2016年11月16〜18日、パシフィコ横浜で「Embedded Technology 2016(ET 2016)」「IoT Technology 2016」が開催される。EE Times Japan/MONOistでは、同展示会の開催に先駆けて、出展企業に展示する内容の事前取材を進めている。
今回は、TDKに話を聞いた。TDKが注目製品として挙げるのは、同年11月14日に発表した産業用途に向けたNAND型フラッシュメモリ(以下、NANDフラッシュ)制御IC「GBDriver RA9シリーズ」である。同製品、インタフェースとしてレガシーに分類される「パラレルATA」に対応し、SLC(Single Level Cell)タイプのNANDフラッシュメモリに特化した製品となる。TDKによると、「高信頼性が求められる産業用途では、パラレルATAの要望がまだ多い」という。値段が安く、民生品を中心に普及が進むMLC(Multi Level Cell)タイプのNANDフラッシュではなく、SLCタイプに特化しているのも、書き込み速度が速く、書き換え可能回数が1ブロック当たり10万回という特長があり、高い信頼性が求められる産業用途で用いられていることが理由としてある。
また、SLCタイプのNANDフラッシュでは最新の2xnmプロセスを含む、2Kバイト/page、4Kバイト/page、8Kバイト/page構造に対応しているため、128M〜64Gバイトまでの幅広い容量帯のストレージを構築可能となっている。
従来製品である「GBDriver RA8シリーズ」と比較すると、ランダムアクセス性能を3〜7倍向上。エラー訂正符号(ECC:Error Correction Code)による訂正能力は最大2倍の512バイト当たり30ビットに高めた。シリアルATA対応シリーズに搭載している「オートリフレッシュ機能」も搭載している。メモリ上の全データを読み出して、必要に応じて自動でエラー訂正を行うため、急なデータ紛失を防ぐことができるとした。
TDKは、「従来品で搭載していた、対電源遮断アルゴリズムやSMARTコマンド対応機能なども変わらず搭載している。対電源遮断アルゴリズムは、独自のアルゴリズムにより、巻き添えエラー発生リスクを低減する。SMARTコマンドは、全メモリブロックの書き換え回数が取得可能なため、メモリの状態が容易に把握可能だ。従来と同じように機能を活用できるため、顧客にとって安心感があると思っている」と語る。
アプリケーションとしては産業機器全般を挙げるが、「以前から活用されている電子マネーの端末や通信機器、工作機器が中心になるだろう」(TDK)とする。
サンプル価格は、1個当たり2000円。生産拠点は台湾で、生産規模は月産10万個の予定だ。生産開始は2017年1月からとなっており、担当者は「ET 2016/IoT Technology 2016を通じて、組み込み業界における顧客の反応を見たい」と語った。
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