スマート家電を狙うサイバー攻撃、まずはルーターからの侵入を許すな:IoTセキュリティ(3/3 ページ)
トレンドマイクロは報道陣向けに「IoT時代のホームネットワークに潜む脅威解説セミナー」を開催。スマート家電のサイバーセキュリティにおいて、ホームネットワークの入口であるルーターが狙われている現状について説明した。
IoTが攻撃されると現実の「物理的・人的」被害に直結しやすい
森本氏は「スマート家電を狙う脅威」として、スマートテレビのランサムウェアへの感染被害についてデモンストレーションで紹介した。スマートテレビの機能をロックしてしまう「Flocker」というランサムウェアの感染被害が、国内でも既に確認されている。「スマートテレビもそうだが、今後スマート家電で利用が見込まれるAndroidプラットフォームを攻撃する脅威が拡大している」(森本氏)という。
デモは、遠隔操作ツールに感染したPCからルーターの脆弱性を利用して設定を変更して、スマートテレビがファームウェアを自動更新するためのWebサイトへにアクセスしようとするときに不正サイトへ誘導し、ランサムウェアに感染させるという内容だった。
森本氏は、IoT時代に予想されるサイバーセキュリティへの脅威として「IoTデバイスを踏み台にした大規模サービス不能攻撃」「自動車や電車、飛行機など輸送手段を狙うサイバー攻撃」「生活に密着するIoTデバイスからの情報漏えい、ネット恐喝」を挙げ、「IoTが攻撃されると現実の『物理的・人的』被害に直結しやすい」と強調した。
その上でIoT時代のセキュリティ対策として「IoTデバイスの利用者も気を付けるべきことがあるが、IoTデバイスの開発者も提供するサービス内容などを考慮しながらセキュリティについて検討する必要がある。当社もIoTデバイス開発者向けのガイドラインを発表したところだ。IoT時代に対応すべく開発者の方々と一緒に考えていきたい」(森本氏)としている。
関連記事
- ≫連載「場面で学ぶ制御システムセキュリティ講座」バックナンバー
- ≫連載「いまさら聞けない 車載セキュリティ入門」バックナンバー
- シマンテックがIoTセキュリティに本腰、車載ネットワークの異常検知を実現
シマンテックは、自動車向けのセキュリティソリューションの新機能「Symantec Anomaly Detection for Automotive」を発表した。車載制御システムをつなぐCANネットワークにおける異常なトラフィックを検知することができる。 - IoTで変化するセキュリティ対策の考え方
セキュリティベンダーのトレンドマイクロは東京都内でセキュリティカンファレンス「DIRECTION」を開催。基調講演で同社 代表取締役社長 兼 CEOのエバ・チェン氏が「サイバー攻撃に先手を打つスレットディフェンス」と題し、近年増加するサイバー攻撃の動向と、それに向けたトレンドマイクロの取り組みについて語った。 - 半導体製造時のばらつきをIoTセキュリティに生かす
三菱電機と立命館大学は、半導体の製造段階で生じる個体差から指紋のような固有IDを生成し、機器の秘匿と認証を行うセキュリティ技術を開発した。あらゆる機器がつながるIoT(モノのインターネット)時代に向けたセキュリティリスクの低減に貢献できるとしている。 - IoT時代、500億台の組み込み機器をどう守るか
500億のデバイスがインターネットにつながるともいわれるIoT(Internet of Things)時代の到来が迫る中、組み込み機器のセキュリティ対策は重要度を増している。来日した米マカフィー幹部に、IoT時代の組み込み機器のセキュリティ対策を聞いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.