先駆者が語るIoT、「日本は強い製造業で世界と勝負すべき」:製造業IoT(1/3 ページ)
IoT推進コンソーシアムは、2016年10月に開催された「CEATEC JAPAN 2016」会場において、IoT推進コンソーシアム総会を実施。その中で、IoTに関する先駆者たちを集めたパネルディスカッションを開催した。
IoT推進コンソーシアムは2016年10月4日、「CEATEC JAPAN 2016」(千葉市幕張メッセ、2016年10月4〜7日)内で第2回の総会を開催。その中で、IoT(モノのインターネット)に関する先駆者たちを集めたパネルディスカッションを開催した。
パネルディスカッションに登壇したのは、インダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)運営委員会事務局長でアーキテクチャタスクグループの共同議長であるマーク・クロフォード(Mark Crawford)氏、オープンフォグコンソーシアム(OpenFog Consortium)の創設者で代表であるジェフ・フェダーズ(Jeff Fedders)氏、Preferred Networks(PFN)代表取締役社長の西川徹氏、ソラコムの代表取締役社長である玉川憲氏で、モデレーターはIoT推進コンソーシアム会長の村井純氏が務めた。
IoTで必要な技術的アプローチとは
IoTはあらゆる産業の構造を変え、「モノ」の販売によって価値を提供していたものを「サービス(コト)」として提供できるようになることが特徴である。しかし、安全性の問題や、どこにデータを蓄積しどこで分析するのか、などさまざまな技術的な過大を抱えているといえる。これらの技術的な課題に対し、先駆者たちはどのように捉えているのだろうか。
オープンフォグコンソーシアムのフェダーズ氏は「何より重要なのは相互運用性である。データをオープンに流通させる仕組みを作り、さらにそのデータに意味を見いだすことが可能とすることがポイントである。オープンフォグコンソーシアムはまさにこの仕組みを実現することを目的としている」と述べている※)。
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一方でIICのクロフォード氏は「たくさんの異なるコンピューティングシナリオがIoTの世界にある。こうしたシナリオに対して、全てをサポートしていくというのが重要である」と強調する。例えば、IoTといえばデータを全てクラウドに上げるというような意見もあるが「遅延などに対するには、演算を行う場所をエンドポイント(現場)に近くする必要がある。単純にクラウドシナリオだけで何かをやると考えないのが大事だ。多くのユーザーはクラウドにデータを移したくないと考えている。また、多くの投資を自社のデータセンターに行っているので、移したくないというような意見もある」とクロフォード氏は課題を指摘する。
こうした中でクロフォード氏はIICを含むコンソーシアム活動の重要性を述べる。「コンソーシアムはどうやって、こうした広い要求を満たす要件をどうやって作るかという文脈が重要になる」とクロフォード氏は語っている。ただ、全般的には演算力は分散する傾向にあるといえる。「データがユーザーに近いところに置かれるようになる。全てがエンドポイント側に移っている。システムや産業により、その距離が変わってくる」とクロフォード氏は語っている。
同様に「エッジ」の価値を訴えるのがPFNの西川氏である。西川氏は「IoTの世界ではエッジが重視される『エッジヘビー』の世界が広がりを見せている。遅延を下げられる利点を生かし、エッジやフォグコンピューティングの領域にディープラーニングを入れていくことに価値を感じている」と述べている。ただ、それだけでは十分ではなく「クラウドとの連携も当然必要である。エッジでは多くのデータを学習する計算力が課題だ」と西川氏は述べている。一方でこうした計算リソースについては「省電力化が大きな課題。計算を行うのに膨大な電気代がかかる」(西川氏)と問題を指摘している。
一方でIoT向けMVNO(仮想移動体通信事業者)回線サービスを提供するソラコムの玉川氏は「クラウドをメインビジネスとしているので、IoTにおいてもクラウドが大きな役割を果たす」と述べている。「クラウドの前と後でシステムアーキテクチャは変わった。メガクラウドベンダーのデータセンターにたくさんのデータが集まってきている。データグラビティともいわれるが、どんどん集まっていく。一方でIoTだと、みんながデバイスを持っていてつながる世界である。無数にあって、連携するときに、安くてセキュリティを担保できるネットワークにチャレンジを感じている。これを日本発でグローバルに発信したいというのがビジョンである」と玉川氏は述べている。
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