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トラックを彩る世界唯一プリンタ、航空機にも――エルエーシーオンリーワン技術×MONOist転職(5)(1/3 ページ)

日本の“オンリーワンなモノづくり技術”にフォーカスしていく連載の第5回。今回は、特殊用途のプリンターを開発、製造、販売しているエルエーシーの「オートボディプリンター」を紹介する。

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 エルエーシーは社員数約50名。東京都町田市の本社の他、名古屋、福岡の拠点、またヨーロッパ、中近東、アジアなど10か国以上に販売代理店を持ち、世界中でビジネスを展開する。同社のオンリーワン製品である「オートボディプリンター」は、トラックやバス、電車などのボディにプリントできる世界で唯一のオンリーワン製品。この巨大なプリンタには、ここにしかない技術が詰まっている。

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エルエーシー(東京都町田市)

垂れない、跳ねない、凹凸OKの理由

 トラックやバスなどのボディに広告を掲載したり、デザインを施したりする場合は、フィルムに印刷して貼り付けるのが一般的だが、オートボディプリンターはPC上で作成したデザインをボディに直接プリントする。コストはフィルムを使用する場合の約10分の1で、フィルムを貼りにくい凹凸や湾曲のある面でも、スタートボタンを押すだけで簡単に印刷することが可能。風雨や紫外線、洗車にもびくともしないのに、容易に消すことができ、何度でも描き替えることができる。

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展示会場でのオートボディプリンターによる実演の様子

 プリントの方法は、いわゆるインクジェットプリンタと思ってもらえばいいだろう。しかし、一般的なインクジェットプリンタは、水平に保たれた紙に、非常に接近した位置にあるノズルヘッドから、下に向かってインクを噴射するのに対し、オートボディプリンターは垂直の対象に塗料を噴出して塗布する。50ミリほど離れた位置にあるノズルヘッドから塗料を飛ばすので、凹凸や湾曲があってもまったく問題ないというわけだ。

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オートボディプリンターのシステム構成

 こんなことができる秘密は、非常に粘度の高い塗料と、ノズルヘッドの構造にある。一般的なインクジェットプリンタは、常に開いているノズルヘッドに向かって、インクを押し出したり、熱で膨張させたりすることでインクを噴射する。それに対してオートボディプリンターは、塗料のタンクからノズルヘッドまで非常に高い圧力をかけ、数10ミクロンのノズルにあるバルブを、数マイクロ秒という高速で開閉させて、高粘度の塗料を飛ばす。この塗料とノズルヘッドの仕組みによって、50ミリも離れた垂直面の狙った位置に塗料を飛ばし、跳ねたり霧状になったりすることもなく、鮮明にプリントすることができる。

 大型車両を想定した専用のプリンタ自体もオンリーワンだが、同社が開発した塗料とノズルヘッドこそ、他社にはまねのできないオンリーワンの技術なのである。

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