段ボールの設計も3次元化が進んでるんですって!:ママさん設計者の「モノづくり放浪記」(5)(2/9 ページ)
ファブレスメーカーのママさん設計者が、機械系モノづくりの“生”現場を渡り歩き、ありとあらゆる加工の世界を分かりやすく解説していく連載。今回紹介するのは、梱包製品や紙器を製造する中信紙工だ。同社は段ボールを使ったユニークな製品も販売している。
「コマ大戦」にもかかわっていました
今や製造業界にすっかり定着した「全日本製造業コマ大戦」ですが、方々の大会で、大事な土俵を支え舞台に華を添えた見事なテーブルを覚えているという方も多いと思います。実はこれ、中信紙工が製作したものなのです。
もちろん素材は段ボールです。種類の違う段ボールを組み合わせ、その強度をうまく利用した造りになっていて、仕上げに施されたつやのある塗装が、まるで漆塗りのような風合いを醸しています。実にカッコイイですね。戦いに敗れ、くやしまぎれに力いっぱいたたいてもびくともしない頑丈さです!
塗装前の状態はこんな感じです。
これは初期のもので、現在はもっと複雑な構造のものも用意されています。
2Dから3Dの世界へ
中信紙工は昭和46年の創業以来、主に紙段ボールを使った精密機器の輸送箱や地元の農産物の出荷箱を、大・小ロットに関わらず数多く手掛けています。組み立てられた箱はタテヨコ高さを持つ立体ですが、平板を切り抜き折り曲げて接着する、その製造は2Dの世界です。以前紹介した精密板金加工の世界ともよく似ています。
先ほどご覧頂いたテーブルですが、初期型から最新型に進化するにつれて、シルエットに曲線が増えていくのがお分かりになりますか? こちらを製作した時期に、新たな設計ツールとして3D CADの導入があったのです。それによって誰もが完成品のイメージを素早くつかむことが可能になり、立体から平面への展開が一層スムーズになりました。
中信紙工が3D CADを導入した背景には、同じ塩尻市内で「3Dデジタルデータの有効活用」をスローガンに、各種設計ツールの教育的指導と販売を行う、プロノハーツのアシストとアドバイスがありました。
コマ大戦で活躍したテーブルは、実はプロノハーツからの製作相談を受けて対応したものでしたが、それが2D CADによる製品設計から3D CADを活用した製品設計へ移行するきっかけとなり、ひいては、梱包製品以外の「段ボール製立体造形品」の創造への道を開いていくことになりました。
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