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“おもしろおかしく”仕事をして「ほんまもん」を作る――堀場製作所オンリーワン技術×MONOist転職(4)(2/3 ページ)

日本の“オンリーワンなモノづくり技術”にフォーカスしていく連載の第4回。今回は、グループ全体で世界27カ国48社を展開し、グローバルに分析・計測システムを提供している堀場製作所を紹介する。

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言葉を交わす工夫がいっぱいの「E-HARBOR」

 堀場製作所は2016年、滋賀県大津市、琵琶湖の西側に所有する工場用地に、新たな開発・生産拠点「HORIBA BIWAKO E-HARBOR」を完成させたことでも注目を集めている。「E」は、同社がこの拠点で目指す効果「Engineering」、「Environment」、「Engagement」、「Enhancement」、「Energy system」の頭文字で、「HARBOR」は、世界のHORIBAグループの工場を牽引していく母港(ホームハーバー)を表したもの。窓の大きな明るい10階建ての建物には、それまで京都で業務を行っていた自動車と環境事業のガス計測部門が移転し、開発、設計、生産が集約されている。

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新たな開発・生産拠点「HORIBA BIWAKO E-HARBOR」
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堀場製作所 生産本部 副本部長 びわこ工場長の西村公志氏

 京都からE-HARBORへの移管は、70年にわたって京都で育てたコア技術の継承という意味でも重要であった。伊勢神宮や出雲大社で話題になった「遷宮」には、宮大工の技術を継承するという意味がある。それにちなんで、この移管プロジェクトを「技術の遷宮」と名付け、あえて次世代を担う若手技術者が、先輩の知識やノウハウを分解し、吸収しながら新拠点への移管を進めた。

 堀場製作所 生産本部 副本部長 びわこ工場長の西村公志氏は「いろいろなドキュメントはあっても、考え方など表しきれない部分もある。それらを含めて吸収できる機会はなかなかない。移管プロジェクトのなかで最も値打ちがあったのはそこかもしれない」という。

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E-HARBORの内部は白を基調とした明るい空間が特長

 技術の継承だけではない。「Open&Fair」を理念とする同社は、内外の拠点を作るたびに、よりオープンに、よりコミュニケーションが生まれるようにと、空間づくりを工夫してきたが、このE-HARBORでは、コンセプトから室内のレイアウトまで全て、若手のアイデアで考えたそうだ。例えばオフィスエリアは、1フロアに開発、設計、生産が集結し、パーテーションもない。フロアの真ん中には、部長以上の役職者がデスクを並べて集結。部門を超えた情報共有や、意思決定を速める工夫が随所にほどこされている。

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1フロアに開発、設計、生産が集結

 大きな窓から琵琶湖を望める建物中央のベストポジションには「SKY ATRIUM」と名付けられた階段があり、あちこちにカウンターやソファーなどが置かれている。基本的に、社員はエレベーターを使わず、階段でフロア間を移動するが、いろいろな部門の人が行き交うなかで言葉を交わす機会が増え、コミュニケーションが密になることを狙った設計だ。非常に気持ちのいい場所なので、階段もまったく苦にならない。

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階段が社員同士のコミュニケーションの場に

 一般的に工場は、横に広く作られることが多いが、10階建てになったことには理由がある。40年以上前、この土地を取得しいざ造成を開始したところ、敷地の真ん中に古墳が見つかり、広く平らな場所を確保できなかったという事情がある。しかし古墳のおかげで、階段ができ、コミュニケーションの機会が増えたとも言えるかもしれない。

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工場の奥に見えるのが古墳跡

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