HILSとアクチュエータ:いまさら聞けないHILS入門(4)(2/4 ページ)
車載システムの開発に不可欠なものとなっているHILSについて解説する本連載。今回は、前回取り上げたセンサーとともにHILSの入出力インタフェースのポイントとなるアクチュエータの回路と機能について分析し、ECU出力に対するHILSインタフェース回路の仕様について考えます。
LEDインジケーター回路
発電システムは、運転状態を示すために図2に示す緑と赤のLEDインジケーターを備えます。発電中は緑インジケーターが点灯し、停止時は赤インジケーターが点灯します。ECU出力端子に電圧が加わると、LEDに電流が流れて点灯します。ECUの出力回路は、LEDに適切な電流を流すための電流制限抵抗を備えています。
HILSは、疑似負荷回路についても実機に近い回路を原則とします。この考えを単純に適用すると、LEDを負荷とする図2の疑似負荷Aとなります。点灯時は、ダイオードによる電圧降下が発生しますが、ダイオードの種類によって電圧が異なるので、LEDと降下電圧が等しいダイオードを使うことにより、電圧や電流が実機と同じになります。非点灯時に入力電圧が確実に0Vになるようダイオードと並列に抵抗を追加しています。
より簡単な方法は、疑似負荷Bのように、汎用的に使用できる抵抗負荷を使用する回路です。この回路でもECUは問題なく作動します。ただし、電流、電圧ともに実機と異なり、ECUの端子電圧は、ECU内部の電流制限抵抗(R_ECU)と疑似負荷抵抗(R_HILS)により分圧された電圧となります。
A、Bどちらの疑似負荷の場合も点灯時はECU出力から電圧が加わり、非点灯時は0Vとなります。測定は、A-Dコンバータを使う測定回路Cや、デジタル入力を使う測定回路Dが適用可能です。測定回路Cは、電圧データをHILSコンピュータで判定して点灯/非点灯を検出します。測定回路Dは、LED点灯時の電圧が小さくても点灯状態を確実に検出できるように、コンパレータを備えています。
燃料ポンプ用リレー回路
燃料ポンプは、図1に示すようにリレーを介してモーターを駆動します。駆動電流が比較的大きな場合にリレーを介してアクチュエータを駆動します。この回路は、オン出力時にトランジスタがグランドと通電状態になり、リレーコイルを励磁します。励磁されるとリレー接点がオンしてポンプが作動します。
疑似負荷回路の一例を図3に示します。リレーコイルの代わりの負荷抵抗をECUに接続し、ECU出力がオンになるとHILSから電流が流れ込みます。ECU端子電圧は、オフ時は電源電圧の12V、オン時はトランジスタのオン電圧(1V弱)となります。
測定回路は、オン状態とオフ状態の電圧を検出できればよいので、LEDインジケーターの場合と同じくA-Dコンバータを適用する測定回路Aや、コンパレータとデジタル入力を組み合わせた回路Bが適用可能です。
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