町工場は暗い汚い? 金属って美しい! 金型工場発のメタルアートのミュージアムを作ろう:zenmono通信(3/7 ページ)
モノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から、モノづくりのヒントが満載のトピックスを紹介する「zenmono通信」。今回はフジタ 代表取締役 梶川貴子氏が、金型工場発の新ビジネスのアイデアや取り組みについて話す。
enmono 説明していただいていいですか?
梶川 これは2015年の11月に地元の銀行が主催したビジネスアワードがありまして、その時に発表した資料なんですけど、結局町工場っていうもののイメージが暗かったり地味だったり汚かったり……
enmono (パネルに)「町工場のおやじ役は最後に必ず借金苦で病死するか自殺する」って、すごい(笑)。
梶川 もうもうもう、出てくるドラマとか必ず町工場は崖っぷちで、しかも逃げるんだったらいいけど、お父さんが死体で見つかったとか悲惨なイメージがあって、子どもの頃は「ウチも製造業やってるから最後、親は自殺するのかなぁ」とか一瞬ヒュッと思ったりしてる時期もありましたね。
enmono こういうイメージを払拭したいという思いがあったんですね。
梶川 そうですね。決まったイメージがあるので、そうじゃなくて町工場っていうのは楽しいんだと。色んなモノを作れるんだと。そういういいイメージを探したかったです。ということで、金属がきれいなんですよ。これ私が作ったオブジェなんですけど、コンテナにアルミの切削したカスが山のようになってて、焦点絞るとすごくきれいなんですよね。キラキラ光って。ゴミなんだけど、「これなんか使えるんじゃないか」っていうのは前からずっと思ってました。
enmono 金属の削りカスと「何かきれい」ということで、次の展開はどうなったんでしょうか?
梶川 zenschoolさんの時から、アルミのきれいなところを表現して何か作れるものはないのかなというのを頭の片隅にはずっとありました。講習が終わった後、何か作らなきゃということでいろいろ試行錯誤して、このオブジェが出てきました。ここに行き着くまでには2回失敗して、作ってグシャグシャとして、作ってグシャグシャとして、3回目でやっと形になりました。
enmono どのくらいかかりました?
梶川 10日間くらいですかね。
enmono これは削りカスを接着剤かなにかで?
梶川 そうです。ピンセットでつまんで接着剤で丁寧につけていきました。
enmono この写真がFacebookのグループに上がってきた時、「お、なんかすごいのが来た」って結構みんな大騒ぎだったんですよね。
梶川 あ、そうなんですか?
enmono ええ、(zenschoolの)同期生が。いよいよ来たかみたいな。この作品を生みだしたことがきっかけで、その先の展開が。
梶川 このモデルが1つできることによって人に説明する時にすごくやりやすくなったんです。こんなきれいなものが作れるんだから、こういうのを飾る場所を会社の中に作りたいとか。これは社員とか、銀行さんとか、出入りしている方たちに説得力が出てきて。
enmono 銀行さんはどのような反応でしたか?
梶川 「ああ、いいですね〜」って。
enmono なかなか金融機関の方って直接の売上につながらないようなことには反応していただけないのが通常だと思うんですが、
梶川 皆さん1回目はミュージアムを作るんですよとか言ったら「ハァ?」「梶川さん何を言ってるんですか?」っていう風に1回は言うんです。
enmono (笑)。
梶川 「それどうやって売上あげるんですか?」「本業と何が関係あるんですか?」って一度言われて帰られるんですけど、次に会う時は「やっぱりあれ、いいですね」って。で、「何がいいんですか?」って言ったら「製造業だけじゃない人も呼べるし、デザイナーとかクリエイターももしかしたら寄せられるし、いいと思いますよ」っていうのがチラチラ聞こえてきて、あたしもそこで「ああ、そうか」「すごいすごい」と思って。
enmono 最初は半信半疑でしたか?
梶川 そうそう。半信半疑。最初は自分でも大丈夫なのかなーっていうのはありましたね。
enmono 僕らにやらされた感があったりとか?
梶川 「ちょっと乗せられたかなぁ」っていうのはありました(笑)。
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