開設後3カ月の真新しいテストコースで、ホンダセンシングの実力を試す:自動運転技術(2/4 ページ)
ホンダが2016年4月に先進安全技術の開発のために新設した「栃木プルービンググラウンドさくら」。真新しいテストコースでホンダセンシングの実力を試した筆者のレポートをお送りする。
ホンダセンシングは軽自動車にも広がっていく
ホンダの安全技術ロードマップを見ると、1980年代後半に運転席のSRSエアバック、1990年代に入り助手席用のSRSエアバックを搭載したのに始まり、1990年代後半には事故回避システムの横滑り防止装置(VSA)を量産化した。
2000年代に入ると、事故被害軽減システムでは歩行者保護やコンパチビリティを重視したボディーの設計、事故の回避に関しては衝突軽減ブレーキ、認知支援ではナイトビジョンやマルチビューカメラシステムの搭載が進んだ。さらに先進運転支援システム(ADAS)として、車線維持支援システムや渋滞追従機能付アクティブクルーズコントロール(ACC)などが追加された。
こうしたさまざまな技術を、2014年から「ホンダセンシング」、北米の高級車ブランド「アキュラ」向けでは「アキュラウォッチ」として取りまとめている。
前方安全については、回避支援として衝突軽減ブレーキ、誤発進抑制機能や路外逸脱抑制機能、歩行者事故低減ステアリングを搭載。事故の未然防止には、渋滞追従機能付ACC、車線維持支援システム、先行車発進お知らせ機能、標識認識機能で対応する。また、側方安全ではブランドスポットインフォメーションとレーンウォッチ、後方の認知支援ではマルチビューカメラシステムやリアワイドカメラ、パーキングセンサーシステム、そして後退出庫サポートという多彩な機能を盛り込んだ。
現在、ホンダセンシングの搭載モデルは、「レジェンド」「アコード」「クラリティFC」といった上級車種から「ジェイド」「ヴェゼル」「ステップワゴン」「オデッセイ」、そして2016年秋発売の新型「フリード」など量販モデルを含む合計8車種だ。今後は軽自動車への搭載を計画している。
これらのうち、レジェンドとアコードはホンダセンシングが標準装備となっている。ホンダセンシングがオプション設定の車種のうち、オデッセイでは装着率が94.7%、ジェイドが83.3%、ステップワゴンが78.7%、そしてヴェゼルが79.8%であり、市場での安全に対するニーズが高い水準にあることを感じさせる結果となっている。
ホンダの画像認識技術を支える日本電産エレシス
ホンダセンシングのキモである前方安全を担うのは、フロントガラス内側にある単眼のカラーカメラと、ラジエターグリルに装着した周波数77GHzのミリ波レーダーだ。
この単眼カメラを供給するサプライヤは日本電産エレシス(旧ホンダエレシス)だ。同社は、2002年にNECの自動車電子制御ユニット事業とネステックが統合してホンダエレシスとして発足。ホンダが60.8%、NECが33.4%を出資していた。2014年に日本電産がホンダエレシスを買収した。
最近、単眼カメラによる画像認識技術は、General Motors、BMW、Volvo Cars、日産自動車などが採用するイスラエルのMobileyeの技術がデファクトスタンダードとして存在感を示している。日系サプライヤの技術では、トヨタ自動車が採用するデンソーと、ホンダが搭載する日本電産エレシスの独自開発への期待が高まっている。
ホンダ関係者によると、日本電産エレシスの画像認識技術について日系自動車メーカーから「われわれの技術とは違う特徴があり興味深い」という声が度々聞こえてくるという。
ミリ波レーダーについては、富士通テンから調達している。
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